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ブラスカル

元マラソンランナーですが、今や加齢と故障でお散歩専門、ブラタモリっぽく街歩きをしています。

21年1月に読んだ本

2021-02-01 08:59:04 | 読書
1月は13冊、そのうちミステリーが7冊、今月はミステリーに秀作が多かった。中でも圧巻だったのはこの本。

◆アマテラスの暗号(伊勢谷 武)
古代史好きとして興味津々、まさに日本版「ダヴィンチ・コード」、日本神話のラビリンス。日ユ同祖論は知っていたが、トンデモ本の類と決めつけていた。でも渡来人集団の秦氏がユダヤ系というはありうる。飛鳥から平安にかけて日本の政治、文化の中枢にいた彼らが、伝統と習慣を持ち続けたまま日本人に溶け込んでいったとしたら、、、

古代史、神話の解釈はいろいろできてしまうものなので、奇説も、ノンフィクションではなくエンタメ小説であればすっと腑に落ちる。小説ながら、解説や写真がふんだんに取り入れられおり、いちいちググる手間が省けてよかった。



◆ワトソン力(大山 誠一郎)
自身はポンコツでも、周囲の人の推理力を上げて事件を解決に導く和戸宋志くんの、コンパクトにまとまった7編の短編連作。和戸くんは場を仕切ったり、仕切りもせずにぼーっとしてたりするのだが、周囲の人、しまいには犯人までも推理合戦を繰り広げ事件を解決してしまう。大山さんらしく本格っぽさも残しながらもコミカルな作品で、楽しく読めました。


◆透明人間は密室に潜む(阿津川 辰海)
本格ミステリ1位、このミス2位作品。阿津川さんは「紅蓮館の殺人」に続き2冊目。「紅蓮館、」はあまりの本格ミステリ臭さに好きになれなかったが、本作の全く趣向が違う短編4編は趣向が多彩で楽しめた。「透明人間は密室に潜む」は変則的な倒叙ミステリー、実は透明人間って犯罪にも結構不便。「六人の熱狂する日本人」は裁判員6人全員が偶然にも被告と同じアイドルのオタクという状況で進む裁判の話で、これが一番楽しめた。


◆たかが殺人じゃないか (辻 真先)
「このミス」など昨年末のミステリーランキング三冠達成作品。昭和24年ってもう70年以上前!パン助とかオンリーとかRAAとか、敗戦の衝撃が冷めやらぬ日本。価値観の大転換期に、表面的に変わったふりをするも本質は変わらないおっさん連中と男女共学に右往左往する青年たち。おじさんの私はほぼ時代背景が理解できるけど、若い人は分かるのかな。犯人は理屈ぬきの消去法でこの人しかいないよなと想像がついた。殺人の動機も悲しいものがある一方で、ミステリー部分はしっかりしてて、納得の三冠王。

◆汚れた手をそこで拭かない(芦沢 央)
「ただ、運が悪かっただけ」「埋め合わせ」「忘却」「お蔵入り」「ミモザ」、正直に謝ってしまえばよいのに、愚にもつかない言い訳をしたために、悪いスパイラルにはまる心の弱い人が主人公の短編が4編。ジワリとくる感じはいかにも芦沢さんって作品だけど、直木賞候補にしては少し軽い感じもする。


◆暗約領域 新宿鮫XI(大沢 在昌)
今年の1冊目。新宿鮫、もうシリーズ11作目なのですね。恥ずかしながら初読みでした。かなり分厚い本でしたが、スケールのでかい警察小説、ハードボイルド・ミステリーで、文章も読みやすく、さほど長さは気にならずに楽しめました。


◆マツリカ・マジョルカ (相沢 沙呼)
学園もの日常系ミステリー。この手のものはよくあるだけに、面白く感じるかどうかはホームズ役、ワトソン役のキャラ次第なのですが、語り部の柴犬くん、碇シンジっぽくてちょっとイライラさせられるし、ワトソン役のマツリカさんはいかにもって感じで、相沢さんは好きな作家さんなのですが、この作品には私はあまり惹かれませんでした。太ももがお好きなようですが、色っぽい描写にも中途半端感が、どうせならもっとエロ寄りに振るとか。

◆犬がいた季節(伊吹 有喜)
四日市市の公立高校で飼われている犬を視点にした、昭和から平成にかけての青春群像物語。犬が出てこなければ手に取ったかどうか、我が家にも15歳になる老犬がいるので、どうも犬ものに弱い。F1鈴鹿グランプリ、私は相場たちの2年前の89年に、同じシケイン前のスタンドで観戦した。マクラーレン・ホンダ、懐かしい。あっという間の高校生活、10年スパンで視点を定めるとこういう風に映るのか。高校時代って、自分も早瀬くらい不器用だったのかな。


◆デルタの羊(塩田 武士)
「罪の声」の塩田武士さんのアニメ業界を題材にした小説、アニオタの私としては外せない。辻村深月さんの「ハケンアニメ」は、著者もこちら側の人と分かる、アニメ愛にあふれた小説だったが、本作は、アニメに魅せられた主人公らが登場するも、しっかり社会派のお仕事小説。会話に登場するエヴァやラピュタの名セリフは塩田さんらしい、ち密な取材によるものなんだろう。世界を席巻している感がある日本のアニメだが、ジブリみたく1本作るのに何年もかかるものはもうやっていけない。時代の変遷を見据えてビジネスモデルを改革していかないと。


◆わたしの美しい庭(凪良 ゆう)
著者の作品は昨年本屋大賞を取った「流浪の月」に続き2作目。マンションの屋上にある神社の宮司とその血のつながらない娘を真ん中に、失恋の痛手を引きずるゲイ、高校時代に恋人を事故で亡くしたアラフォーの女性、ブラック企業で鬱になった事故死した恋人の弟と訳ありの人が集う。娘の百音ちゃんの、ぶれない、淡々とした、何やら悟りを開いたような?視点に「そう。人生、何とかなるよな」と思わせられる。

◆発注いただきました!(朝井 リョウ)
タイトルからして、お仕事小説かなと思って手に取ったら、全然違った。朝井リョウさんくらいの売れっ子でも、こういうスポンサー付き、制限付きの仕事って多いのですね。お得意のヒリヒリ系あり、コメディあり、エッセイあり、頭休めに楽しまさせていただきました。

小野不由美さんの十二国記を2冊。
◆黄昏の岸 暁の天
十二国記シリーズの番外編ともいえる「魔性の子」の本編の話。これを読んでいないと続編の「白銀の墟 玄の月」続編がわからなくなるので。
◆白銀の墟 玄の月 第二巻 
泰麒は、いくら民を救うためとはいえ、こんな策謀みたいなこともこともしちゃうんだ。はたして驍宗の運命は、、本当に死んじゃったってことはないよね?それにしても、話がなかなか進展しないなー。あと2巻。
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2 コメント

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アマテラスの暗号 (Z間)
2021-02-03 11:32:52
Facebookで著者の伊勢谷武氏から直接のコメントが来ていましたね。
スゴイ(私は読んでませんが・・・笑)!
ブラスカルさんの書評の内容(作品に対する理解度の高さ)が素直に嬉しかったのだと思います。
*ちなみに「ダヴィンチ・コード」は読んでます
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コメントありがとう (RASCAL)
2021-03-02 11:24:22
この本、全く無名の作者ながら、好きな人はすごく好きみたいで、結構隠れたベストセラーになっているみたい。
好きか嫌いか、どっちかの本です。外れもありますが、おすすめです。
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