朝は7時から明るく今日は晴天。キャンプサイトには22台のフランスのキャンパーが停まっていた。1800年代モロッコはフランスの植民地だったからフランス語を話す人が多い。そのせいかフランスのキャンパーがほとんどを占める。
朝9時にはキャンプサイトを出発した。サイトのあるマーティルから近いティトゥアン(Tetouan)の町は山の中腹までぎっしり家屋が詰っている。結構大きな町で道路も幅広く立派だが道路標識があまりない。通りの両側は南国らしく椰子の木が並んできれいな建物が多い。
道路の状態が良かったのはこの町までで、ティトゥアンから真っ直ぐ南に降りてゆく道は山を越え岡を越え村や町を通ってゆく。
岡や山裾はどこもオリーヴの畑で道端の私設の露天ではオリーヴの漬物を売っていたり、広げたござの上に収穫したオリーヴを干しているのが見られた。
いくつもの町では市が立っており、地面に広げた敷物の上に日用品や衣服などが売られ、どこも人々であふれていた。
田舎ではロバが自家用車であったり、トラクター代わりであり、かわいそうなロバがこき使われている。道路際で草を食んでいる羊を見ているのが大人や子供の羊飼いだった。彼らは自分の地所を持たないように思える。たぶん道路際は誰の地所でもないのだろう。一日中羊を追って歩き回っているようで,全行程でどこででも見られた。
南へ行くに従い風景が白っぽくなり、乾燥した山肌がむき出しだったりして、なんとなく以前に見たことのある風景。いろいろ考えてみたら、ギリシャの景色に良く似ているのだと気がついた。天気が良いときの南国はどこも良く見えるのだろう。
厚地の長いコートにフードのついた衣服はこの国の男性のオーバーに違いない。気温は20度を越え、キャンパーの中では暑くて半そででいるが、この国の人たちには寒いのだろう。特におじいさんたちがしっかりと着込んでいる。
ロンドンのマーケットで買うオレンジはモロッコ産が多いが、今日通った300kmの行程で道端でオレンジを売っていたのは一箇所だけだった。ウエザーンリフ山脈を越えた一部でしかオレンジ畑を見かけなかった。
山道ではスピードもだせないし、大型トラックがのろのろ走って数珠繋ぎで追い越せないときも多く、300kmを6時間もかかってやっとフェズの町にたどり着いた。