去年の3月に濾胞性リンパ腫の再発が見つかり、
7月よりCHASE療法にリツキサンを組み合わせた治療を3コースやり、
そのあと造血幹細胞移植併用の大量化学療法を実施する予定だった。
しかし3回目の入院の後に末梢血幹細胞の値が上がらずに採取が出来なかった。
そこで4回目の入院をしてエンドキサン大量投与による末梢血幹細胞の採取を試みたが、
これもうまく行かず、結果的に大量化学療法を断念した。
その代替としてゼヴァリンによるRI標識抗体療法をこの1月から行うこととなったのである。
RI標準抗体療法とは、ある種のリンパ腫に多く存在する抗原に特異的に結合する抗体に、
ベータ線を放射する物質を結合させたものを用いる治療法で、
その商品名が「ゼヴァリン」というものである。
この抗原はCD20抗原といい、それに特異的に結合する抗体をモノクロナール抗体という。
この原理を利用した薬剤がリツキサンである。
RI標識抗体療法ではゼヴァリンを補助する役割でリツキサンも併用する。
但し、ベータ線を放射するゼヴァリンが骨髄に集積した場合、
造血機能に重大な支障を来す恐れがあり、また肺や腸管なども影響を受けやすい。
そこでまずガンマ線を放出するインジウムとモノクロナール抗体を結合させたものを投与し、
体内での移行の様子をガンマカメラで撮影する。
その上で問題がないと判断された場合、
ベータ線を放出するイットリウムとモノクロナール抗体を結合させたものを投与する。
インジウムとモノクロナール抗体を結合させた111Inイブリツモマブ・チウキセタンは診断用である。
イットリウムとモノクロナール抗体を結合させた90Yイブリツモマブ・チウキセタンが治療用となる。
入院翌日に診断用のゼヴァリンを投与し、ガンマカメラで撮影して診断、
1週間後に治療用のゼヴァリンを投与して退院となる予定である。
入院は病棟の正月休みシフトの明ける1月19日月曜日となった。
今回の一連の治療での入院は5回目で、さすがに段取りも完璧である。
早めに行って事務手続きを済ませ、院内コンビニで不足の品物を購入する。
入院当日に血液検査とレントゲンをやり、明日からの治療に支障のないことを確認する。
入院2日目の20日火曜日に111Inイブリツモマブ・チウキセタンを投与する。
これはガンマ線を発するインジウムとモノクロナール抗体を結合させたもので、
治療効果は期待できないが、ガンマカメラで体内分布が分かるため、
骨髄や肺、腸管などへの集積がないかを確認するためのものである。
最初に病室でリツキサンを点滴投与する。
これは今までの通り、始めの1時間は100ml/h、そのあと200ml/hで点滴する。
※画像は一部加工してあります。
次に生食を点滴回路に繋ぎ、そのあと核医学治療室に行って、
111Inイブリツモマブ・チウキセタンの入った注射器を三方活栓から生食の点滴に繋ぐ。
この注射自体は10分とかからなかった。
このあと即日にガンマカメラの撮影をする。
これはガリウムシンチの時と同じ撮影台の上に乗せられて、全身を撮影する。
撮影自体は20分だが、動いてはいけないので意外と辛い。
21日水曜日、22日木曜日もこのガンマカメラでの撮影をする。
22日の撮影で確認が出来たということで、この撮影はこの日で終わり。
病棟主治医から問題部位への集積は認められず、治療は可能とのこと。
ゼヴァリンは診断用と治療用がセットになっているため、
診断の結果、治療用の投与が不可能となっても保険請求されてしまう。
「ゼヴァリン」は設備の整った指定医療機関でのみ受診が可能であり、
またヨーロッパから月1回のスケジュールで空輸され、
しかも有効期限が製造日から7日しかないため、キャンセルも延長も出来ない。
保険請求の対象になっているが、総医療費は500万円と高額のため、
高額医療費自己負担限度額の認定を受けたとしても自己負担額は127,430円となってしまう。
因みに計算方法は80,100円+(総医療費-267,000円)×1%となるそうだ。
とほほ・・・。
23日金曜日から26日月曜日までは特にやることもなく、暇だった。
仕事といったら朝一番の体重測定と1日4回の検温と食事量、排尿、排便の回数の自己申告のみである。
今回は抗癌剤を使っていないので食欲不振などの副作用もなく、
入院中は至って健康だった。
それでも外ではインフルエンザが流行しているようで、
病室のひとりひとりに「患者さん・ご家族・面会の方へ」という印刷物が配布された。
そう云えば去年のNHK紅白歌合戦でもAKB48やももいろクローバーZのメンバーが、
インフルエンザ罹患を理由に出場できなかったりしていたな・・・。
27日火曜日にいよいよ2回目のゼヴァリンの投与が行われる。
先週同じようにはじめにリツキサンを点滴し、そのあとに生食を繋いで核医学治療室に行き、
90Yイブリツモマブ・チウキセタンの入った注射器を三方活栓から点滴回路に繋ぐ。
特に体調の変化があるわけでもなく約15分で終わった。
終わってから機械で放射線量を測定され、問題がないということで病室に返される。
体調に変化がないということで即日退院となった。
今回の入院では狭義の抗癌剤は使われなかったので、体調不良は特になかった。
終わってみればあっという間の8日間であった。
しかし「ゼヴァリン」は投与後2ヶ月前後に比較的重症度の血液毒性が発現するということで、
それまでは外出を控え、血液検査が欠かせないとのこと。
まだ暫くは憂鬱な日々が続きそうである。