10.平穏な阿仁合の秋の訪れ-内陸線と鍰山
鷹巣を少し遅れて発車した秋田内陸縦貫鉄道の11Dは58分で阿仁合に到着する。
途中の駅には駅員が配置されている駅もあったが、
多くは森の中にあるような無人駅で、この路線が黒字になるのは厳しいなと感じた。
乗り込んだ11Dは阿仁合止まりで、11:29に到着する。
阿仁合では島式ホームの反対側に阿仁合始発の11:31の列車が接続を取っている。
2分の乗り換え時間だが、狭いホームの左右の乗り換えなので十分である。
ここでは隣の列車には乗らずにいったん改札を出る。
阿仁合駅には「レストランこぐま亭」が併設されていて、
ここで下車したのは駅取材のほかにここで昼食を喰うためでもあった。
オーダーは馬肉シチュー黄金ライス添え1,000円を喰う。
ほかにも馬肉ハヤシライスや馬肉ラーメン、馬肉丼など馬肉推しのようである。
食事を終えてから駅の隣にあった「内陸線資料館」をゆっくり見学する。
ここには内陸線の誕生の歴史を写真や当時の新聞記事とともに紹介している。
また奥にはまたぎの生活を再現した空間も設置されていた。
ここをゆっくり見学しても待ち時間は2時間14分で時間を持て余し、
駅前を散策、羽州街道を少し南下して北秋田阿仁郷土文化保存伝承館を見つける。
ここは阿仁地区の鉱山や文化、また異人館なども保存公開されている。
しかしここには入場せず、屋外に展示されている外には阿仁線に使用されていた線路や、
鉱山に使用されたモーターカーなどの展示だけを見学する。
ここを出てそのまま阿仁川まで行く。
ここは“北緯40度カントリーパーク”という公園施設になっているようで、
また秋田内陸縦貫鉄道の路盤との間には「鍰山」の一部が保存されている。
阿仁町が設置した説明の掲示板には以下のように書かれている。
鍰山
「鍰」は、砕いた鉱石を溶鉱炉で溶かして、
銅と不純物に分類した鍰滓のことをいいます。
「鍰」は、「粒状」、「なべ型」、「角型」
また古いものには「間吹き鍰」の4種類あり、
粒状の鍰は、この地区一帯に捨てられ
「鍰」の上に建っている家屋もあり、
また「鍰山」も随所にみられます。
「角型」は家屋の土台や、
石垣等にも利用されてるようになり、
町のいたる所に見ることが出来ます。
古い時代の「間吹き鍰」は、
分類技術が進んでいなかったので、
今だに金、銀、銅、の成分が含まれております。
この掲示物を見て「今だに」は「未だに」じゃないかと思ったが、
それはさておき、この鍰山には秋田内陸縦貫鉄道の路盤も造られているようで、
線路そのものは見えないが、信号などの設備を見ることができる。
ゆっくりと流れる時間を十分に堪能し、
景色や生えている植物、飛んでいる蝶やトンボなど、
普段は撮らない題材の写真を撮りながら乗り換え時間を潰し、阿仁合駅に戻る。