rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

心の通いあわせ方

2018-05-26 23:25:00 | 随想たち
食につられて、アニメ”甘甘と稲妻”を見た。
心をこめて作る料理が、他人や親子の絆を強くし、体はいうまでもなく心を健やかに育み、安心して生きる礎をなすのだということが描かれている。
至極当たり前のこととも思うのだが、現実にはこれが難しく、実践できる人たちがどれほどいるのだろうかとものすごく不安だ。
昔は、街中ならば総菜屋もあって、それを利用することもあっただろう、しかし、輸送が素早く、保存技術も向上し、すぐさま温められたりする器械もでき、さらにコンビニエンスストアがいたるところにある現在、料理をして食べることがある意味贅沢な行為になりつつある。
でもそれは、食事をするということが、単にエネルギー補給の生命維持という動物的本能に従うものだけになり、人に与えられた味わい楽しんで、かつ他者と幸福を共有し関係性を緊密にする高次な作用を放棄してしまう危険性を孕むのではないだろうか。
大切な人を思い料理を作り、それを分かち合うことで、心に深く刻まれることは張り知れない。
これがベースとなって、言葉で気持ちを伝えあい、交互に重ね合わせ時を過ごしていくと、人の心を安定し弾性のあるものになると思う。
今、大人も子供も、心の危機にさらされている。
時間の余裕が失われたり、過剰な業務に追われたり、何かと削られることに事欠かない。
せめて、生物の基本、食事が、ひとにとって、豊かで優しさのあるものになることを願わずにはいられない。