rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

経済ってなんだろう

2012-05-31 23:33:54 | 随想たち
ギリシャが、ユーロを離脱するかどうかの重大な局面にある。
深刻な財政危機を抱えている国はほかにも、ポルトガル、スペイン、イタリアが、手当てを待って列を作っている。

統一通貨、一大経済圏は、本当に必要なのか?
富める者が、新たな搾取方を編み出し、さらに富を増すための装置なのではないかと、不信が募る。
いままさに、既存の富国が新たな活路を求めて、経済圏を構築しようと諸国にうまく働きかけている。
今朝のテレビ朝日”モーニングバード”の「そもそも・・・」コーナーで、経済圏の成立する2つの条件を挙げていた。
①同等の経済水準、②富国による富の再分配のどちらかの条件を満たしたうえで、同一通貨と経済圏が成立するとのこと。
ならば、ユーロは、破綻すべき機能だったのだ。
ともあれ、バブルの夢を見てその終焉を迎えた今、おいそれと簡単には建て直しはきかないだろう。

さて、ユーロから東に目を移してみると、何が見えてくるのだろうか。

本来なら経済は、人の暮らしを豊かに楽にするために始まったものだと思う。
何もかも狭い範囲での自給自足では、文明文化は花開かないに違いない。
ただ食べ生きるためだけに、汲々とするだろうから。
分業しそれを共有することでより多くのものを得られる、その原理から離れすぎたことが、構造を複雑怪奇なものにし、見えない搾取で混乱を招いたのだ。
人は飽くなき欲望装置だから、しかたがないじゃないかでは済まされない現状。
もう軌道修正はきかないかもしれない。
諦めたらそこでまで。
ぶくぶくと肥え太り、贅肉が重なったところは、既に壊死が始まっている。
命を縮めないには、大胆な施術が必要だ。
しかし、その大胆な施術には、思いも依らない痛みのリスクが潜んでいる。
どうすればいいのか、人間。
いまさら経済なくしては、文明文化を保持できない。

もともと人の能力には、ばらつきがある。
だから、経済活動を行っていくには、おのおのの持てる能力の長所で補うことが必須。
もし、能力により恵まれたものであれば、他より多くを補う使命がある。
これを不公平と感じるならば、経済活動には無理がある。
もしくは、同等な能力と閉じた経済活動をするしかない。
はたして、それでいいのだろうか?

経済には、矛盾がもとより内包されているのだな。
結局のところ、人の理性の力に委ねるという、心許ないものなのだ。







偽りの世界、騙しあう人たち

2012-05-30 10:43:31 | つぶやき&ぼやき
人の世は、欺瞞に満ち溢れている。
古今東西、未来永劫、人は他人はいうまでもなく自分をも欺き続けていく。
些細なことは頻繁に、重大なこともしばしばに。

いわゆるグローバルスタンダードでは、他者を欺き自らの利益を誘導することが良しとされている。
正直は、美徳にはならない。
歴史風土を鑑みれば、そうならざるを得ないのは理解できる。
根源的、生物の生存本能に、自己の種の保存がある。
同属同種であっても、自分の遺伝子を残そうと躍起なのだ。
人は知恵があるぶん、策略を練って勝ち残ろうとする、ゆえに他を欺く。

日本の今のニュースを見ても、国際的ニュースを見ても、全て他を出し抜き勝ち生き残ろうとするその過程と結果ばかり。
そして、その欺瞞は、一者の欺瞞だけではなく、さまざまな者たちの利害と思惑が絡み合った、欺瞞の塗り重ねられたグロテスクなデコレーションケーキになる。
あまり褒められた、美しいものではない。
もっとも、程度の差こそあれ、我々は皆、欺瞞の詰まった皮袋なのだ。

それでも、大概一個のきらきら輝くダイアモンドが、この皮袋に入れられているのは、なんとも悲しく哀れでもある。
万に一つも純粋物だけの皮袋が存在し得ないのと同様に、欺瞞で満たされた皮袋もないだろう。
そこが人の弱さ、揺らぎにつながり、最悪の安全弁になる。
また、逆も然り。

近頃、グローバルスタンダードをごり押ししてきた風潮の成果が顕著になってきた。
人間界の弱肉強食、先祖返りへ。
人の世界は、上下に二分され、互いの層は交じり合うことがなくなろうとしている。
皮袋に納められている輝くダイアモンドも、異層界を知ることはない。
違う界に属しているものには、冷酷無比になれるだろう。
さすがの欺瞞も、これには尻尾を巻いて逃げ出すに違いない。

さて、人間界が二つに分離しきる前にどうにかしないと、ダークファンタジーな世界が現実化してしまう。
欺瞞は、ぬるい水槽の中でせこせことやっているくらいが丁度いい。
いまこそ、皮袋の中のダイアモンドに光を当て輝かせるのだ。
全ての人の希望と可能性を奪わないために。
本能と知能の暴走を食い止める、理性ある人として存在しようではないか。





花冠のオフィーリア

2012-05-27 22:26:47 | ねこ

花冠のねこ 26/5/2012



小さい人が、シロツメクサの花で作った花冠を頭に頂くねこ。
オダマキやシダの生い茂る井戸端で寝そべる。
植物の緑と、石の白灰茶色にねこの薄こげ茶色が、まるでミレイの絵にある草花の鬱蒼とした川面に漂うオフィーリアの如し。
近くの石の上には、トカゲがオダマキの葉に隠れながら日の光を浴びている。
とても美しく絵画的。
なんの変哲もない土曜日の午後、素晴しい贈り物。
小さい人と分かち合えたひと時。


オダマキの葉の下のトカゲ 26/5/2012


ミレイ:オフィーリア


世界中で愛されるうさちゃん、ミッフィーの街ユトレヒト

2012-05-26 23:47:03 | 街たち
「にじいろジーン 地球まるごと見聞録」オランダのユトレヒト。
アムステルダムから自動車で南に1時間のところにある、オランダ第4の都市で古都。
なによりも、”ミッフィー”の生みの親ディック・ブルーナの生まれ暮らす街で、街のいたるところに彼の生んだキャラクターがあるようだ。

ミッフィーはイギリスでの通称、本国ではナインチェNijntje Pluisとして親しまれている。
子供を育てる過程において、ミッフィーの存在は大きい。
中くらいの人と小さい人に、どれほどミッフィーの絵本を読み聞かせたことだろう。
自分としては、犬のスナッフィーが大好きで、大小スナッフィーのぬいぐるみを今も大事に飾っている。
単純化されて丸みのある造形が、暖かみと愛らしさを生み、子供から大人にいたるまで幅広い支持を集める要因であろう。
ミッフィーとスナッフィーファンとしては、是非とも訪れてミッフィーワールドを堪能したいものだ。

ユトレヒトの街並は、おとぎの国のような建物と運河が形作っている。
レンガ造りの建物は、13世紀からの古いものも現存するほどで、統一感があり美しい。
街の広場では市場も立ち、市民生活を活気付かせている。
ストロープ・ワッフルは、庶民の食べ物。
薄いワッフルをさらに薄く半分に切り、キャラメルソースを塗りはさむ。
バーリングは、ニシンの塩漬け。
老いも若きも、ニシンをつまみあげ、上向きになって口へ垂らすようにして食べるのが、バーリングの正しい食べ方。
屋台では、スティック状に押し切る器具で切った生のジャガイモをその場で揚げたフライドポテト、その上にたっぷりのマヨネーズをかけて提供する。
熱々ホクホクのフライドポテトは、なんて食欲をそそるのだろうか。

アムステルダムより北に位置するザーンセ・スカンスは、風車の立ち並ぶもっともオランダらしいところ。
5月から6月にかけて、チューリップなどに代表されるお花畑の広がる夢のような風景が楽しめる。
ここでは、以前風車で挽いていた小麦粉の替わりにマスタードを挽くようになった。
それからは、マスタードが豊富になり、マスタード・スープなるものが食べられるようになったらしい。
クリームスープにマスタードを加えたもので、クリーミーななかにマスタードの香りとほのかな酸味がアクセントで、さっぱりと食べられるもの。
ちなみに、マスタードは、からしを挽いたものに醸造酢を加えて煉ったもの。
また、チーズにマスタードをつけて食べるやり方もある。

さらに、ザーンセ・スカンスより北にチーズで有名なアルクマールがある。
こちらについては、以前「世界ふれあい街歩き」で書いたと思うので、割愛する。

オランダは、とても美しい。
何処もかしこも人の手が入っているが、かといって自然を虐げているように見られない。
絶えず排水をしていかなければ、国土が海に沈んでしまうからこそ、危機感を持ち、水以外のところは自然の意に副うように大切に守り育てているからなのだろうか。
なんとも矛盾しているが、そのような自然と人との共存を意識している強みといったものがある気がする。
その生真面目さが、ミッフィーの形にも表れていると感じるのは、誇大解釈か。






花の香りは、

2012-05-25 22:04:34 | 植物たち

桃色トワイライトに染まるジャーマンアイリス 20/5/2012


日蝕時のジャーマンアイリス 21/5/2012

甘く豊潤な香りを纏う優雅で貴族的なジャーマンアイリス。
ロココな貴婦人の初夏の装いといった趣だ。
風に乗って流れてくるその香りをかぐと、気持ちが華やぐ。
まるで、薄物の軽くたっぷりとしたドレスの裾をたなびかせながら、貴婦人達が走り通り過ぎていくような光景。
そして、その残り香をいつまでもいとおしむ、少年の気持ちになるのだろう。

花の香りは、たくさんのものを喚起し、私たちに与えてくれる。
美しいイメージ、思い出の扉の鍵、音楽、物語。
これから初夏にかけて、またたくさんの花々が咲く。
何処からか漂う花の香りに、イメージを開放してみてはどうだろうか?