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若い貴婦人像
初期イタリアルネサンスの画家ドメニコ・ヴェネツィアーノ。
彼の描いた二枚の肖像画と一枚の聖母子像は、なんと美しいのだろう。
非の打ち所のない完璧な美、静謐な空間。
この絵に向かった瞬間に心が囚われ、永久に身動きできなくなりそうな魔力も秘めている。
イタリアの重厚な石の壁でできた窓の小さく薄暗い室内に、この絵と二人きりになったなら、私は向かい合う壁にかけられた一枚の絵に変身してしまいそうだ。
そして永遠に誰も訪れることができない閉ざされた空間に向かい合ったまま、ボルヘスの物語のように時が果てるまであるだろう。
でも、それがいやとも怖いとも思えない。
むしろそうなるならば望むところ。
それくらい強烈な媚薬ともいえよう。
いかにしてドメニコ・ヴェネツィアーノはこれらの絵に特別な力を与えたのか。
特別な念が込められたこれら三枚の絵を、どうぞじっくりと御覧あれ。
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若い女性の肖像
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聖母子像