猫は、九つの命を持つというらしい。
もちろん迷信の類で、どちらかといえば、猫のイメージを表したものだ。
けれども、近頃我が家では、オカルト的に実感することが起こっている。
それは、瀕死の状態で我が家にやってきたダミが、以前いたバカねこそっくりになってきた。
違うのは、尻尾がしゅっと長く、オスだということ。
夏のころ、庭中を駆け回っては木登りをして、一人運動会を毎日のようにしていた。
ところが、秋の訪れとともにぴたりとおとなしくなって、義父母とともに座布団の上にだらりとくつろぐ姿が当たり前となる。
人が近くを通りかかると、ちらと視線を送って、目が合えばちいさく「にゃっ」と鳴き挨拶代わりだ。
動き方、佇まいそのものすべて、かのバカねこそのままがある。
ダミがバカねこの生まれ変わりか、はたまたバカねこがダミに憑依したのか、
A cat has nine lives. をリアルに実感している最中なのである。