rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

まぼろしの”自由・博愛・平等”・・・1

2017-11-30 22:21:51 | つぶやき&ぼやき
誰しも、より良く生きたいと願っている。
安心して寝られる所があって、食べ物に困ることなく、自由に希望を持って生きていく。
でも、いくら文明が発達しても、なかなかそれは叶わないかもしれない。
相変わらず戦争はなくならず、病気や飢えに苦しむ人がいて、平和は地上に長くとどまろうとはしない。

世界の中では、一見平和で何の心配事もなさそうなこの国だけれど、人々はとても生き辛そうだ。
自分の存在が希薄で、心もとないのだろうか。
子供からして、その傾向が強まっている。
あちらこちらで無音の叫びがあげられていて、周りの大人はそれに気がつかない。
関心がないのではなく、実は自分自身も叫んでいて、とても余裕などないからだ。
幾層にも、無音の叫びを上げている人が、各々セルに閉じ込められて重なっている。
とても、とても辛く寂しい叫びの樹。
これを切り倒すのはいともたやすいことだろう。
私は、その叫びの樹がずくずくと芽吹き育つところに立っている。
何とかしてその硬いセルにノックするのだけれど、コンコンと返る音もささやかにあればいいほうで、聞き耳を立てても何もありはしない。
どうかすると、私自身もセルをまとって樹の一部に戻ってしまいそうになる。

私に足を与えてくれるのは、美しいもの。
心が逃げ込む桃源郷。
だから今、無性に絵を描きたい、物を作りたい。
家族とともに生きるための糧を得るために働かなくてはならないが、少しの時間も見つけて、絵を描こう。
まずは、自分にとっての”自由・博愛・平等”を勝ち取るために。




空からの眺めー夜

2017-11-20 23:11:54 | 旅行
夜のフライトは、どこか切なさを孕みながら静かに進む。
暗い滑走路に転々と光る誘導灯、降着装置の振動が途切れるとまもなく街の光が眼下に広がりだし、機体はひたすら高度を増していく。
進路を定めるための旋回では、ぐわんと街の明かりが真横に流れ、多くの人がこの明かりの元にいるのだという単純な事実に感動を覚えた。
街の明かり、ポツポツと点る街灯、ゆっくり移動する自動車のヘッドライト、たとえ小さな一点だったとしても、それらが人の営みをまっすぐに空へ向かってその存在を投げかけている。
飛行機からは、まるでそちら側も星の瞬きのようだ。
おそらく海上を飛行しているときに見える真っ白く強い光は、漁火なのだろうけれど、あたかも海上のシリウスといった趣がある。
個人的には、闇夜を切り裂くような強烈な白色の光よりも漆黒にボワント暖かく灯るオレンジ色のナトリウム灯のほうが好きだ。
室蘭か苫小牧あたりの夜に、眩いばかりの光を纏った工場を認めて程なく、オレンジ色の光が集積する街をいくつか見下ろして、やがて空港へと近づいた。
再び誘導灯の明かりに吸い寄せられて、飛行機は仮の宿に到着だ。
とうとうオレンジ色の光の中に取り込まれる時間になってしまった、夜間飛行、このロマンチックなすばらしい時間が終わるのだ。
地上の星もそれはそれでいいものだ、だから今度は空を見上げてその光を楽しもう、次の夜間飛行を心待ちにしながら。

空からの眺めー昼

2017-11-19 22:26:57 | 旅行
いつもは見上げる雲を、目線の高さで、または眼下に見下ろした。
雲の中では、窓ガラスに水滴が張り付いては後ろへと流れ去る。
時折、雲でできた壁を持つ部屋なども現れて、「ジャックと豆の木」よろしく、巨人がひょっこり顔を覗かせるのではないかと思えてしまう。
雲の上に出ると、照り付ける強い太陽の光に満たされた、上には真っ青な空が広がるだけの広大な空間が待ってた。
もしも夜ならば、すぐにでも手が届きそうなほどの星が瞬いていて、ボワンと見えない薄い膜を超えたならそこはもう宇宙なのだろうとときめいた。
見下ろす景色は、3層の雲の下に海や陸地が広がって、その形を見ながら、下北半島だ陸奥湾だ鳥海山だのと、手元に詳しい地図をおきながらもっと地形を楽しみたいと惜しみながら見る。
けれど、やや残念なものもあった、それは太陽光発電パネルが、各地に点在しては、景色をかなり変えていることだ。
中には、ダム湖よりも広い面積のところもある。
今はいいだろう、しかし、耐用年数を過ぎたころ、どうこれを処分するのだろうか。
この数年で爆発的にできたものだから、一斉に廃棄されるはずで、厄介な廃棄処理を厭んでの不法投棄や、単に埋めてしまうなど、きっと多くの問題を生みそうだ。
それでも、自然は坦々と移ろい、川は白金のその身をくねらせ、山々は赤や黄色で錦のように彩られていた。
地上が次第に近づくにつれ、モザイクのように田畑や家屋で埋め尽くされ、ところどころにゴルフ場やショッピングセンターがポイントを作り、道路はそれらを縫い合わすのだった。
列車はもちろんすきなのだけれど、いつもとは違う光景を、飛行機は私に見せてくれる。
旅は、行く先も楽しみだが、その道程も大いにいいものなのだ。