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2023年2月24日 エゴン・シーレ展 

2023-02-27 22:43:38 | 展覧会など

エゴン・シーレ 吹き荒れる風の中の秋の木(冬の木)1912年



エゴン・シーレの展覧会は、30年ぶりだったように思う。
そのときは、池袋のBunkamuraザ・ミュージアムで開催され、見やすい展示と照明で鑑賞に適していた。
ここ十年くらい、美術展の展示構成が、エンターテイメント化しているように感じる。
狭く入り組んだ展示会場構成、展示壁面を暗い色にして絵だけにスポットを当てる手法で劇的効果を演出、絵と絵の間隔を狭くするなど、何かしら要素を詰め込みがちだ。
今回の展覧会での不満は数々あれど、デッサンを集めた部屋は、とても鑑賞しにくかった。
暗い壁面に据えられたデッサンたちは、額の内側にLEDライトを施して、そこだけバックライトのモニターで絵を映し出しているかのような錯覚を持った。
LEDライトが、デッサンや水彩に与える変色や退色の影響がいかほどあるかわからないけれど、強すぎる光はかえって絵を見えずらくしていた。
この過剰な演出が、絵の良さを低減させている。
展覧会の始めのころにあった、シーレに影響を与えたグスタフ・クリムトの絵をさらっと展示してあるほうが、よほど絵を自然に見せていた。
一昨年あたりに見たフェルメール展も、展示の仕方に大いに不満があり、昨今の演出手法に疑問が多い。
どんなに素晴らしい作品を招聘しても、その作品を損なう展示がなされては、作品に対して不敬であり、鑑賞者にやさしくない。
どうか、いかに劇的に空間を演出するかではなく、作品を鑑賞しやすい気遣いをして欲しい。
作品を展示する美術展は、アトラクションではないのだから。


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