とくおかレディースクリニック~ブログ~

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体外受精・顕微授精のお話 その3

2009年07月14日 | Weblog
体外受精・顕微授精の治療費はなぜ高額なのか?

高度生殖医療を受けるにあたってのストレスのひとつに、この”高額治療”というものがあてはまります。
もっとリーズナブルであれば、もう少し気軽にトライ出来るので、こんなにリスキーな思いをしなくても済むのに・・・というお声を多く聞きます。

なぜ高いのか?

①保険適用範囲外であるので、全額自費負担となってしまうからです。
例えば、子宮筋腫や子宮内膜症の治療などで使用する高価な注射剤”リュープリン”というものがあります。
これは保険が効く治療ですので、一般的な治療と同様に、患者さんの負担額は3割負担となります。
それでも高額なお注射なので、窓口でのお支払いは1万円ちょっととなります。
ですが、この場合に全額自費でのお支払いとなると、患者さんの負担額は4万円弱となります(自費には消費税がかかりますので)。
子宮または卵巣の状態が気になるので、”リュープリン”のお注射の時に超音波検査も受けたいとなると、全額自費でのお支払いでは、43,190円となります。
保険適用内であるのか、保険適用外であるのか、、、それはかなり大きな違いなのだと思います。

②高度生殖医療で使用するキットは、全てディスポーザブル(全て使い捨て)であり、それぞれのキットは高額のものばかりです。
消毒滅菌をかければ、次回は別の人が使えるというものではなく、あくまでもその患者さんの使いきりのものばかりを使用する事になります。
競争市場では、需要と供給が一致することにより市場価格と取引数量が決定されます。
例えば、テルモシリンジやニプロシリンジのような物品は、外科でも内科でも整形外科でも小児科でも・・・と沢山の科で使用され、また老若男女問わず多くの患者さんに使用される物品です。
何億の研究費&開発費をかけていても、取引数量が莫大な数量となるので、ローコストでも何とかなるのだと思われます。
ですが、採卵針とか胚移植のカテーテルとか受精卵などに使用する培養液などをはじめ採卵手術中で使用する機械や物品などなど・・・胚培養室内で使用する機械や物品などなど・・・他の科では全く必要とされない物=産婦人科であっても不妊治療施設でしか必要とされない物の需要というものは大変限られております。
しかも、体外に取り出された卵を取り巻くものですので、品質にはかなり拘らないといけないものばかりです。
何億の研究費・開発費をかけている分が、少ない限られた需要に反映されているから、ひとつひとつの物品が高価なのだと思われます。

上記のような現状ですので、どうしてもそれなりの金額がかかってしまいます。
病院側が儲けている訳でもなく、それらの物品を研究・開発している業者さんが儲けている訳でもありません。
高度医療助成金なども出ておりますが、高度生殖医療に臨まれている方々に対して、国側がもう少し御考慮頂けると助かると思います。

その辺を何とかして頂きたいと思いますが、
それと共に、現代の女性をとりまく社会(早くに出産しても立派に社会復帰出来るような社会)をも、何とかしないと、、、
鶏が先か卵が先かーのお話にもなってしまいます。

次回もまたARTについて書かせて頂きたいと存じます。

ーby事務長ー

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