大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

ライトノベルベスト・「GIVE ME FIVE!・4」

2021-09-16 06:18:39 | ライトノベルベスト

イトノベルベスト

『GIVE ME FIVE!・4』  

 2021-06-19 の『GIVE ME FIVE!・3』の続きです

 

 スーザンの代役で地区予選は無事に最優秀。

 我が校としては十五年ぶりの地区優勝だった。

 ささやかに、祝勝会をカラオケでやった。

 女の子ばっかのクラブなので、唄う曲は、KポップやAKB48の曲になり、ボクはタンバリンを叩いたり、ソフトドリンクのオーダー係に徹した。

 スーザンは、この三ヶ月で、新しい日本語によく慣れた。立派な「ら」抜きの言葉になったし、自分のことをときどき「ボク」と言ったりする。もっとも「ボク」の半分は、いまどき一人称に「ボク」を使うボクへの当てこすりではあるけど。スーザンの美意識では、男の一人称は「オレ」または「自分」であった。

 しかし、スーザンの歌のレパートリーも大したものだ。AKB48の曲なんか、ほとんど覚えてしまっていた。

 

 中央大会でも、出来は上々だった。

 

 最優秀の枠は三つあるので、地方大会への出場は間違いない!

 演ったほうも、観ていた観客もそう思っていた。部長のキョンキョンなどは顧問に念を押していた。

「地方大会は日曜にしてくださいね。土曜は、わたし法事があるんで!」
「ああ、法事は大事だよね」

 スーザンが白雪姫の衣装のまま、神妙に言ったので、みんな笑ってしまった。

 しかし、その笑顔は講評会で凍り付いてしまった。

「芝居の作りが、なんだか悪い意味で高校生離れしてるんですよね。高校生としての思考回路じゃないというか、作品に血が通っていないというか……あ、そうそう。白雪姫をやった、ええと……主水鈴さん(洒落でつけたスーザンの芸名)役としてコミュニケーションはとれていたけど、作りすぎてますね、白雪姫はブロンドじゃないし、外人らしくメイクのしすぎ。動きも無理に外人らしくしすぎて、ボクも時々アメリカには行くけど、いまどきアメリカにもあんな子はいませんね。それに……」

 審査員のこの言葉にスーザンは切れてしまった。

「わたしはアメリカ人です! それも、いまどきの現役バリバリの高校生よ! チャキチャキのシアトルの女子高生よ!」
「まあ、そうムキにならずに」
「ここでムキにならなきゃ、どこでムキになるのよ! それだけのゴタク並べて、アメリカ人の前でヘラヘラしないでほしいわよね!」
「あのね、キミ……」

 そのあと、スーザンは舞台に上がり、審査員に噛みつかんばかりに英語でまくしたてた。アメリカに時々行っている審査員は、一言も返せなかった。っていうか、言うほどには英語が喋れないみたい。

 今まで観た中で一番怖い白雪姫だただろう。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« せやさかい・244『お祖父... | トップ | 魔法少女マヂカ・233『大... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

ライトノベルベスト」カテゴリの最新記事