魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!
32『ライオンを捜す少女』
「キミはライオンを探しているのかい?」
渡りに船でアニマ王子が聞きやがる。張り倒してやろうかと思ったけど、少女の手前、ちょっとガマンしたぜ。
「ライオンじゃなくてぇライオンさん!」
「ライオンじゃなくてぇライオンさん!」
言い返しやがる。可愛いけど、ちょっと気ぃつよそうなガキだぜ。
「でも、ライオンなんだろ?」
「でも、ライオンなんだろ?」
「ちがうぅ! 二本の足で歩くし言葉だって喋るしぃ、何よりも勇気を誇りにしているわ。で、そういうライオンさんを見かけなかった!?」
「いいえ」「んなの知るか!」と、レミとマユが答える。少女の視線は、王子にもどった。
「ぼくも知らないけど、ライオンさんに会えたら伝えてくれたまえ」
「え、なにを?」
「あ……その……つまりだね……」
「あの、わたし急いでるの。分からなかったら、他をあたらなきゃならないから!」
「もし、ライオンさんに会えたら伝えてくれたまえ……」
「だから、なにをですか!?」
「どうやったら……勇気が持てるか」
「そんなもの、自分でどうにかしなさいよ。まったく今時のオトコときたら!」
「どうやったら……勇気が持てるか」
「そんなもの、自分でどうにかしなさいよ。まったく今時のオトコときたら!」
少女は捨てぜりふを残して回れ右をし、一歩踏み出して……立ち止まった。
「いま、わたし『オトコ』って言ったわよね……」
「う、うん」「どうかした?」
「う、ううん。なんでも。じゃあね」
少女は、ギンガムチェックのスカートとツインテールをひるがえしながら行ってしまった。
「……あいつ、ドロシーだよな。『オズの魔法使い』の?」
「そうよ。今頃は、エメラルドの国に着いてなきゃいけないんだけどね」
「……あいつ、ドロシーだよな。『オズの魔法使い』の?」
「そうよ。今頃は、エメラルドの国に着いてなきゃいけないんだけどね」
「やっぱり、これもゆがみのひとつなのか?」
「たぶんね。でも、ドロシーは所属がMGMで、そこにワーナーやソニーが絡んだり、ややこしくって、よく分かんない」
「でも、そのややこしい中でも、ケナゲにオズの国を目指してやがるんだな」
「そう、だれかさんと違ってね」
レミは、麦わらをあみだに被り直し腕組みをした。
「じゃ……ボクはこれで失礼するよ」
「じゃ……ボクはこれで失礼するよ」
アニマ王子は肩を落としたまま立ち上がると、マントを被りなおした。
「明日もちゃんと来るのよ」
「明日もちゃんと来るのよ」
「ああ……」
「そして、キスするのよ(>▢<)!」
「……ああ、前向きに考えるよ」
「なに、その政治家みたいな言い方!?」
「母上に教わったんだ。こういう状況で使う言葉……じゃ」
「待て、これ持ってけ」
マユは、胸ポケットから歯ブラシを出したぞ。
「歯ブラシ?」
「今夜と明日の朝、それで歯を磨け」
アニマ王子は、手に息を吐きかけて、臭いを嗅ぎやがる。
「臭うかな……?」
「似合うぞ」
「え……?」
「ロゴを見てみ」
「……ライオン歯ブラシ」
「分かった?」
「ありがとう。ギャグで励ましてくれたんだよね……ごめん、上手くリアクションできなくて」
王子はハイセイコーにも乗らずに行ってしまいやがった。
「ありがとう、ごめんね、めんどくさい王子で。せっかくシャレで締めくくってくれたのに」
「シャレじゃねえよ」
「え……?」
「あの歯ブラシには魔法がかかってんだ」
「どんな魔法?」
「あれで歯を磨くと、好きな女の子にキスしたくなる魔法がよ」
「え……それじゃ!」
「でも、あいつに効くかどうか自信はないわぁ。小悪魔程度の魔力じゃどうしようもねえ」
「ううん、マユはがんばってくれた。ありがとう」
礼を言われると、ちょっと居心地が悪くて、とっさには返事できねえ。
「それにしても白雪、可愛そうだな……」
白雪姫に目をやるレミ。マユも自然に目を移した。
「あ……白雪の顔?」
マユは、白雪姫の寝顔に不吉なものを感じたぞ……。
マユは、白雪姫の寝顔に不吉なものを感じたぞ……。
☆彡 主な登場人物
- マユ 人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
- 里依紗 マユの同級生
- 沙耶 マユの同級生
- 知井子 マユの同級生
- 指原 るり子 マユの同級生 意地悪なタカビー
- 雅部 利恵 落ちこぼれ天使
- デーモン マユの先生
- ルシファー 魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
- レミ エルフの王女
- アニマ 異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
- 黒羽 英二 HIKARIプロのプロデューサー
- 光 ミツル ヒカリプロのフィクサー
- 浅野 拓美 オーディションの受験生
- 大石 クララ オーディションの受験生
- 服部 八重 オーディションの受験生
- 矢藤 絵萌 オーディションの受験生
- 片岡先生 マユたちの英語の先生