この稿の前半は1年前の投稿と重複するが、タイトルに掲げたテーマをご理解いただくには必要な伏線なので、ご辛抱頂きたくお願いする。
【機械式駐車場:存続か、廃止か】
3年前の2016年6月、私が住むマンション(以下、当マンション)の管理組合総会において、組合理事長(実際には管理会社の代弁)から“機械式駐車場(以下「駐車場」)が老朽化したので、延命修繕を実施したい。支出予定額は2016年からの7年で総額16,640千円(税前)。この支出増に対応するため、「駐車場」使用料を従来の月7,000円から12,000円に増額したい”という議案の説明があった。なお、延命修繕とは「駐車場」の各部品を逐次新品に切り替えることである。
この議案に対して、私は“「駐車場」を廃止して、すぐ隣にある営業駐車場を利用したらどうか”と提案した。その理由は
① 16,640千円(税前)という巨額の修繕支出が不要になること。
② 「駐車場」を廃止すれば、年間100万円の保守点検費が不要になること。
③ 隣の営業駐車場の方が、当「駐車場」より使用料が安いこと。
④ 使用料の大幅値上げによって、当「駐車場」から隣の営業駐車場に移る組合員が出る懸念があること。なお、その時点で、「駐車場」は満車(20台)だった。
隣の駐車場には29台分のスペースがあるが、推定16台の長期契約者(推定料金8,000円/月)が存在するから、「空き」スペースは13台で、当マンションの必要数にはとうてい足りない。しかし不足の実状を明かすと話がややこしくなるし、対応策は考えてあるので(後述)、総会の席上では伏せた。
ところで、「老朽化したら修繕して使い続ける」のは常識であり、私の廃止案は突拍子もないアイディアである。だから出席者が戸惑っていると判断し、私はとりあえず「駐車場」案件を保留にして、後日改めて討議することを提案した。しかし、理事長は議案に対する決を取って私を除く全員が賛成した。そして、その年の秋に約800万円(税込み)の修繕が実行された。
【機械式駐車場の採算性】
「駐車場」使用料を実勢相場に合わせた7,000円から、コストに合わせた12,000円に値上げしたところ、3台の「空き」が発生した。私の懸念④が現実になったのである。金額にして、年間(3台×12,000円×12ヵ月=) 432,000円の収入減になる。8百万円もの多額のムダ使いをしながら収入減が発生するとは、まさに“踏んだり、蹴ったり”である。
端的に言って、当マンションに機械式駐車場を設置したこと自体が誤りだった。管理会社の大成有楽不動産(「大成」)はこの誤りに気づいていながら、「駐車場」の寿命が尽きた時、「駐車場」を継続使用するよう組合を指導した。修繕ビジネスを受注したいがためである。
ここでマンション内に設置される機械式駐車場の採算性について考察しておきたい。
一般論として、機械式駐車場の運営コスト(減価償却費+保守点検費+電気代)は月1台12,000円かかる。これは都会でも田舎でも同じである。換言すると、周辺の営業駐車場の相場が12,000円以上の地域でないと、マンションの機械式駐車場はペイしない(「空き」が発生する)のである。
【その後の経過】
2年後の2018年総会の席上で、私はこの損失垂れ流し問題を解消することが喫緊の課題だと主張するとともに、「駐車場」の廃止を改めて提案した。そして、隣の営業駐車場だけではスペースが不足するので、その駐車場の向かいにあるミカン畑の一部を当組合の専用駐車場にするよう地権者に交渉すべきであると述べた。
私の提案は無視され、年43万円の収入減問題は放置されたまま、2019年の総会を迎えた。
【大成有楽不動産の新提案】
2019年6月の総会において、「大成」の担当者N氏は次のように提案した。
“今期に予定されている200万円(税込)の「駐車場」修繕は、機械設備をチェックしたところ、延期しても当面支障ないと判断した。ついては、この修繕は来期以降に実施したい”
私を含む全員がこの提案に賛成した。しかし、配布された長期修繕計画書には、次のような疑問点があった。
上記の200万円だけでなく、以前から予定されていた2020年度における580万円、2022年度における220万円(税込)も長期計画から消えている。合計1,000万円の修繕が無期延期になったわけだが、いずれ実施しなくてはならない修繕であるから、長期修繕計画から削除するのは理屈に合わない。
長期修繕計画において、「大成」は機械式駐車場の修繕周期を25年に見込んでいるが、「駐車場」はすでに使用開始後28年目に入っている。今期に予定されていた200万円の修繕延期はいいとしても、その200万円を含む1,000万円の修繕は、各部品の耐用年数をかなり超えて実施されることになり、いつなんどき緊急に実施が必要になるか予測できない。
一方、ミカン畑活用案は交渉を始めてから完工まで半年乃至1年はかかるから、急場には間に合わない。ただし、幸い修繕積立金には十分な余裕があり、緊急支出は資金的には問題ない。
すなわち、「大成」はミカン畑活用案を延期させておけば、早かれ遅かれ、修繕ビジネスを受注できるのだ。組合の資金的余裕も見込んだ手のこんだトリックである。これは合法的ペテンではなかろうか。
【大成有楽不動産のペテン体質】
2016年に「大成」が当組合に損失が出ることを承知の上で、「駐車場」の延命修繕を実施した際、私はこのブログで「大成有楽不動産のペテン商法」と批判した。それから3年経ったが、体質は少しも変わっていなかった。ペテンは「大成」に浸み込んだ体質なのである。「大成」の担当者N氏はペテンを働くような悪人ではないが、職務に忠実なあまり倫理感・道徳観を見失ったのだろう。
蛇足だが、この2019年の総会において、私はミカン畑活用案の具体案を記した書面を出席者全員に配布した。理事会が私の提案を討議するかどうかは不明である。
終