韓国政府のGSOMIA破棄に関する日本のマスコミの論調は、文大統領の愚行と批判することで一致しているが、韓国の大手紙の見解(日本語版)は真っ二つに分かれている。
保守系紙は「安保態勢を揺るがす」として、文政権を批判しているが、革新系のハンギョレ新聞(8月23日)は「韓国政府、日本の対話拒否・侮辱的反応にGSOMIA終了の正攻法を選んだ」というタイトルで、文政権の措置を支持している。GSOMIA破棄が“正攻法”とは恐れ入るが、それはともかくその記事の一部を引用する。
政府の今回の決定は韓日関係を越え、韓米関係、ひいては北東アジア秩序を揺さぶる引き金になるものと見られる。まず、日本に対しては、歴史認識の問題を安保領域にまで拡大したことへの追及の意味が大きい。米国に対しても、同盟に対する責任と尊重を求める警告と言える。韓日の対立を解消するための韓国の努力には手を拱いたまま、防衛費分担金の引き上げや中距離ミサイル配備カードで韓国を圧迫することに対する、文在寅政府のメッセージということだ。
下線の部分「歴史認識の問題を安保領域にまで拡大した」のは韓国だと思うが、「追及」という語句からして、その主語は日本ということらしい。
また、その記事の別の部分には“日本の歪曲した歴史認識に基づいた軍国主義化と韓日協力は衝突するほかない”という文章もある。“歪曲”された歴史を学んだ記者から見れば、われわれ日本人が持っている歴史認識が誤ったものに映るのだろう。そして、“歪曲”された(というよりも、韓国的と呼ぶべきか?)歴史を学んだのは、この記者ばかりでなく文大統領以下政権内の人々であり、一般大衆である。
したがって、日本と韓国は歴史問題に関しては永久に理解しあうことはない、という結論になる。「百年河清を俟つ」という俚諺は日韓関係にピッタリ当てはまるようだ。