2月に訪れた神戸の町で、偶然「高山辰雄 文藝春秋表紙絵展」のポスターを見つけました。
運よくその日は開催中に当たりましたので、急いで会場のBB プラザ美術館に入りました。
日本画家の高山辰雄氏が、1987年から1999年の13年間に描き続けた文藝春秋の表紙絵原画156枚を前期と後期に分けて展示するこの展覧会は、予想以上の見応えがありました。
作家が75歳から87歳まで毎月毎月描き続けた小品は、実に細やかに、実に穏やかに時間の流れを捉え、見る者の心を切なく、優しく包みこみます。
また一つ一つの作品に添えられた高山氏の言葉、文章も深い味わいがありました。
3月の表紙絵のなかから高山作品と文章をご紹介させて頂きます。
山や空 森や水の自然の創る姿
あるときは楽しく美しく又怖く遠いものに見える
鏡の様に私の心の動きを映す
目にも筆にも揺れる自然は
紙の上になかなか掴まらない
春は春 夜は夜
1999年3月「白い花咲く」 文藝春秋表紙絵より