神戸では東灘区の香雪(こうせつ)美術館にも立ち寄らせて頂きました。
朝日新聞社創業者 村山龍平氏が蒐集した日本・東洋の古美術品を所蔵する、その建物、佇まいも大変美しい美術館です。
今回お目当ての所蔵品の常設展示はほとんどなく残念でしたが、
仕方なく・・というのも失礼ですが・・「せっかく来たのだから」と鑑賞した特別展が素晴らしく驚きました。
截金(きりかね)展?仏像展?
初めは???という感じだったのですが、鑑賞するうちに江里佐代子さんの作品の魅力に心を奪われました。
大変お若いうちに人間国宝に選ばれた理由にも頷ける、圧倒的な技術力、独創性、そして情熱に富んだ作品ばかりでした。
上の写真は作品の一つのジャンルである毬香合ですが、どのように制作されてゆくのか。。遠く考えも及ばず、ただただその美しさに見とれるばかりでした。
截金は従来仏教美術の装飾技法とされ、金箔・銀箔・プラチナ箔を細く切り、貼り合わせて文様を表現するという伝統工芸技法です。
江里さんは夫である仏師江里康慧氏とともに仏像装飾という仕事をする傍ら、その技法を工芸品・屏風・建築空間へと応用し、表現性を深めていったということです。
気の遠くなるような作業をコツコツと積み重ね、天界に近づくような仕事を残し、江里さんは惜しくも2007年62歳の若さで他界されています。
関西にお出かけの際は、是非香雪美術館特別展にお立ち寄りになってみてください。
※人間国宝 江里佐代子の截金 康慧とともに伝える荘厳の美
11月4日(日)まで 香雪美術館