「伊勢に生れし美し使者 伊藤小坡の世界~うららかなる美の巨匠」展に行って参りました。
伊藤小坡は、同門の上村松園と比較されることの多い女流画家ですが、
家庭をもち子育てをしながらの画業ということで、
松園とは制作に対するスタンスもかなり違い、
それが作品にも色濃く投影されているように感じます。
今回の展覧会では伊藤小坡の代表作「つゞきもの」(右画像)の下書きが出品されていますが、
朝の忙しい時間に寸暇を惜しんで新聞の連載に目を通そうとする婦人の表情を冴え渡らせるべく、
新聞記事の一文字一文字の描写、
横に置いてある手ぬぐいと歯ブラシの位置、
柱につるされた暦の数字など
全てに試行錯誤を繰り返していることがわかります。
日常にふとこぼれる豊かな女性らしさを描こうとした小坡の作品世界が広がります。
伊藤小坡展は12月16日まで。
前期、後期と作品が入れかわり、後期は11月13日からの展示となります。