時々孫が店に遊びに来てくれることを、このつれづれにも書かせていただいています。
生後半年を過ぎた頃からちょくちょく顔を見せてくれるので、その成長を間近に感じさせてもらう機会も多く、
また幼い人は店に飾ってあるものをどのように認識していくのだろう?という興味も尽きません。
一才を過ぎて歩けるようになると、作品に触ったり、傷つけたりしないかと嫁娘は随分心配してくれましたが、案外乱暴に触れたりもせず、言葉が通じなくても私から先に「鳥さんがいるねぇ、小さいねぇ、鳥さん、こんにちは❗️」と作品に呼びかけたりすると、「あ、ここに鳥さんがいるんだ」と理解してくれているように感じました。
二才前後からは、おしゃべりもすっかり上手になり、店に着くと、早速それぞれの作品にご挨拶に行ってくれます。
「キリンたん、こんにちは〜」
ふとしたことでお軸に触れてしまったりすると、揺れるお軸に興味を持ち、手を出すこともありますが、「お雛様がね、揺れて少し怖いって言っているみたい。静かに止めてあげようね」というとそっと手を離したりしてくれます。
機嫌が良く、動作も落ち着いているなと思える日には、陶器の作品に一緒に触れてみたりもします。
息子が2歳くらいの時、公園によく連れていきました。
男の子は、2歳を過ぎた頃から個性が際立って、息子のお友達の中には、公園の中をきれいな若いお姉さんが通り過ぎようとされるとどういうわけかその後ろを追いかけて公園を出ていってしまう子がいました。
この頃では孫も、綺麗な若いお姉さんを前にすると、うっとりと明らかにいつもと違う笑顔を見せて愛想良く挨拶すると聞いています。
今週は、納品の準備のため、お預かりしていたラリックの婦人像をギャラリーに出していました。
私は他のことをしていたので見ていませんでしたが、昨日店に来た孫は早速この婦人像を見つけ
「あぁ〜」と言ってケースに抱きついたそうです。
すかさず佐橋がライトをつけてあげると
「あーーーーぁ」と
その美しさに孫は驚いて、両手を広げてケースに抱きつき、アクリル板にチューをしたというのです。
(お納め先のお客様、ごめんなさい。アクリルはもう一度綺麗に拭き直しました)
よく佐橋が「美術品を見る男性の目は、女性を見る時と同じ目だ」と言っていますが、なるほど孫の行動にもその兆候がよく表れています😅
もう孫には自分にとって美しいもの、綺麗なものが本能的にわかっているのだと思いました。
この初めて見るブリザードのバラにも「あか❗️」と近づき、何度も何度も見にいきました。
帰りがけにはとうとうこの花びらにもチューをしていたほどです。
見たものを全て口に持っていき、その手と口の感触から外界の存在を識別し始める時期
感触から得た情報を、指差しで「あ、あれ!と確認、それを周りに伝えようとする時期
「あ!りんご!」という言葉の獲得とりんごは丸い、赤いという存在の識別化を進める時期
そしてそれとほぼ同時期に、「きれいなもの!」を感じる力を養っているのだということが今回よくわかりました。
果たしてこの孫が、山口薫や長谷川利行、今西中通などの作品に「この絵すごく良いねぇ」と興味を持つようになるのか?
それはいつ頃なのか?
何よりその時私は生きて、店をやっていられるのか?
それさえもわかりませんが、間も無くお兄ちゃんになるこの孫と当店の作品達との出会いをこれからも楽しみに見守りたいと思っています。