この「つれづれ」を長くご覧くださっているお客様から、先日夏のご挨拶をメールでいただきました。
奈良にお住まいのお客様ですが、名古屋の九平次さんのお酒をお飲みになる機会がお有りだったそうで
「名古屋のような都会に酒造メーカー?」と不思議に思われたようです。
「九平次って知ってる?」と私がひとこと言うだけで、佐橋が「あぁ、醸し人九平次ね」と直ぐに答えてくれてびっくり‼️
さすが、昔取った〜です。同じように名古屋市内にも以前はいくつかの酒蔵があったようですが、今は随分と減ってしまったようです。
また機会がございましたら、愛知や岐阜県内の老舗酒蔵のご紹介をさせていただきますね。
さて、このお客様からのメールには
「あらためて、ブログでご紹介いただきたいのは、金山平三「くろぶなに山葡萄」です。不思議な絵です。」とありました。
ブログの記事にリクエスト?をいただくのは、初めてなのでとても嬉しく読ませていただきました。
お客様は軽いお気持ちでお書きくださったのでしょうけれど、、そして、各お客様は、勿論、半分冗談くらいのお気持ちで当店へのメールやお問い合わせをお書きくださればそれで良いのですが、、
私は昨年末に、この金山の「くろぶなに山葡萄」を倉庫にしまってから、ずっとこの作品のことを考えていましたのでドキッとして、夏休みの宿題をいただいた気持ちになったわけです。
そして、それを知ってか知らずか。。私が留守をしている間に、先週佐橋はこの作品をとうとうギャラリーに飾りました。
書かざるを得ない。。作品の年代などは、昨年も書かせていただきましたのでそちらをご覧いただいて。。
今この作品を私がどう見ているかを書かせていただこうと思います。
まず
本当はこんなことをしてまでお話することではないのですが、思い切って
① くろぶなの木です。傾いて向こう側に向かって伸びています。
②多分この幾つかの緑の点が山ぶどうです。くろぶなに蔓が巻きついているようです。
③白く見えるところを遠くからご覧ください。川が流れています。
④奥に紅葉の木々が見えます。
⑤これはきっと植物で、誠に金山らしいタッチで描かれていますが、実際には何か?はわかりません。
けれど、この描写のおかげで川と紅葉の奥行きが分かります。トンネルの始まり!のように見えます。
いかがでしょうか?
先回、先先回と書のお話をさせていただいたのは、突然のことではありません。
この金山の作品を楽しむには、書を鑑賞するような眼でご覧いただかなくてはいけません。
その時に、最後に1番素晴らしい!と思えるのは、この小さく描かれた白いシャツの人物の立ち位置、
姿勢です。この人物に目をやると、動画のように風景画がぐるーと一回転でもしそうに感じます。そして人物の右側にオレンジの線で階段が続いているようにも見えてきます。
私達は毎日色々なことを感じながら、考えながら、飽きずに同じ作品を鑑賞しています。時には,
このような風景が実在しないかとネットで十和田湖の画像を探したりしながら。。です。
若き空海の書に感動したように、
それにしても絶妙なところで筆を止めましたね。これは紛れもなく金山の力です。
かつてピカソがタブローに挑んでいるところを実写したドキュメンタリー映画
を見ていた時、次から次へとイメージが湧いてきて筆が止まらなくなっているピカソの様子を見て大変だなと思ったことがありました。それはそれでエネルギッシュで大陸的な良さもありますが、ここでも紹介されている通り日本の洋画家はやはり東洋画の影響を受けている人も少なくないと思います。
金山の静かな海の絵は、水墨画のような静謐さを感じさせますし、こうしたアブストラクトな絵も描ける。写実のレベルも高く、本当の意味でスケールの大きな画家だと思います。
ピカソのお話🎨いかにもピカソらしく、興味深く読ませていただきました。
「大変だな」のご感想にも笑えました。本当ですね、ピカソは確かに大変そうな「芸術家」でした。
筆を止める。なるほど、止める、省く、削る。
全て東洋の美に共通することかもしれません。