つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

読書

2024年01月23日 | 日記・エッセイ・コラム
きのう読み終わりました!




私は斜視がありまっすぐ文を追うことができないので、ストーリ性のある長編の本は何年も手に取っていませんでした。
けれど、お客様お薦めのこの作品はとても面白く読むことができました。
写実作家とその作品がストーリーの中心で、タトウ箱や黄袋などのWordが
出てくるのに「取材」を感じ少しニヤッとしてしまいました。

ただサスペンス調のお話の展開には、殺人がおこるわけでもない、この程度のものであっても、今の私にはちょっとスピードオーバーに感じられたこともありました。ボーと見ているドラマや映画と違って、真っすぐに胸に刺さるのが文章の素敵なところですが、少しズレが生じると違和感が余計に大きなものになることがありますね。


表紙は野田弘志さんの作品で本当にとてもきれいなご本です。
よろしければ、直接ご覧になってみてください。


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週末色々

2024年01月22日 | 日記・エッセイ・コラム
お通いくださるお客様にはお馴染みのことですが、この画像の清方と青樹作品を飾っている壁の向こう側は倉庫になっています。

いつもご紹介させていただく通路の横にも小さな倉庫があり、またビルの上の階にも天井の低い倉庫を一つお借りしています。この二つの倉庫には梱包道具や補修道具、画集や保管の必要な伝票などを置き、作品はこの壁の向こうの倉庫だけに保管しています。






が、この倉庫の中に佐橋が残した宿題がいっぱいでした。

まず何がどこにあるか?わからない。佐橋は箱などの荷姿で一瞬に中身に何が入っているかが分かりましたが、私は眼力と記憶力が非常に弱いので、今作品を仕舞った箱に何が入っているか?翌日にはわからなくなってしまうことが多くあります😭
ですから、1人になってからは作品の外箱に付箋を貼るようになりました。まずその作業にかなりの時間がかかりました。

そして、次は訳のわからない作品たちへの対処。
これがまた大変でした。各お客様、作家さん、深浅?様々な理由でこの倉庫に保管させていただいている作品がありました。

微かな記憶や、古い伝票や営業日誌(佐橋は殆ど付けていませんでしたので自分の日誌)を探り、時間をかけて
各先様へご連絡を差し上げました。
大きな作品は自分では持てないので、家族にも手伝ってもらい外に運び出したりも致しました。






そして、まだまだ細い片付けは終わっていませんが、そのお預かりしている荷物、またお納めの約束をいただいている作品をこの年末から今日まででこの倉庫から搬出することができ、今、随分ホッとしています。





先週末からは空額や空箱の整理も始めています。これも勝手な意見ですが、良い画商さんはきっとこの空額を沢山持っていらっしゃるように感じています。お客様のニーズは勿論ですが、作品をよく感じ取り、大切に思えばやはり額を交換したり、新しいものを揃えたりしてそのストックが多くなるのは当たり前だと思えるからです。



倉庫の片付けをほとんど毎日の日課として過ごし、私はしみじみと自分には何ができて、画商として何が足りないかを感じました。そのほとんどはショックな事ばかりになりましたが、佐橋が何を考え、何を楽しみにし、何を苦しんでいたかもよくわかりました。

人は歳をとると、カンジンカナメの肝腎が弱り、体内の老廃物の排出作業が鈍くなります
それと同時に身の回りの整理も極端に苦手になるように感じます。
体の状態はそのまま生活に表現されるというわけですね。

逆に、身の回りを片付けると体も元気なる!というのは、これも全く持って私の私見ですが💦
倉庫を片付けることによって、壁一つ隔てたお部屋、ギャラリーの空気も随分澄んできたように感じています。

さて、そこからどうするか?です。

先週末はとりあえず京都の便利堂さんからハガキを取寄せてみました。




絵葉書はうんざりするくらい沢山持っていますが、不思議と年賀状に使えるもの以外の1、2月の季節ものがありませんでした。

昨日自宅に届いた、清方、鉄斎、北斎などの絵葉書はとても綺麗です。

ブログをご覧いただいていないお客様、と言ってもほんのわずかな数ですが、遅ればせながら年始のご挨拶がわりのお便りをこれから書かせていただこうと思っています。寒中お見舞いから余寒お見舞い。春が近づく度にご挨拶も変わりますね。

結局お休みの日も頭の中は店と絵のことばかり。
どこへも行かず、どなたとも会わず、そんな休日をあの日から今まで私は過ごして参りました。
きっとそれが一人になってしまった私の最善の休日の過ごし方であったのだと今はそう思います。

明日からまた1週間店に出させていただきます。
よろしくお願いいたします🙇‍♀️(27日土曜日はお休みを頂戴致します)













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お納めのあとに

2024年01月20日 | お納めの前に
佐橋美術店 
佐橋夏美様

こんばんわ。
昨日は1日中忙しくて手が付けられず、今日梱包を解きました。
自分の部屋に掛けて、
まずひと目で、
ああやっぱりいい絵だなあ
と改めて感じました。
しんしんと降り積もる雪の中で、母親が黙々と子どものソリを引く。
ほんとは寒々とした光景のはずなのに、全く寒さを感じない。それどころか、逆に心がポカポカしてくる気がします。
明日からまた頑張ろう、と思える素敵な絵です。
ちょうど今日は税理士の先生の面談日で、この絵をみて褒められました。

いい絵と出会えました。 
ありがとうございました。

酒井三良の作品をお届けいたしましたお客様からッセージをいただきましたので、ご紹介させていただきました。

私の言葉などいらない。
まるで三良作品を見るように
細やかで温かい、お心の行き届いた素敵なメッセージ。

ご感想をお寄せいただき、まことにありがとうございました。

この作品をお譲りくださいました画商さんが先日お立ち寄りくださいましたのでお客様へのお納めのことをお話させていただくと「三良の作品はモダンでしょ」とお話くださいました。

モダン! 

そうなのかぁ~ だから、私は三良作品に惹かれるのかぁと納得いたしました。

今更三良?

という自分への疑いは、このお客様からのメッセージとモダン!という言葉で少しの自信に変わりました。
驚くほどお安くなってしまった日本画の秀品は他にも沢山あります。
そうした作品を今を生きる私の眼でとらえなおせたら良いなぁ、その感動をみなさまと共感できたら更に幸せだろうというと思いを今回のお納めで強く抱かせていただきました。

「人は歩く速度以上には自分の中に真の情報を入れることはできない。」
近代日本画を眺めているとき、昨年お会いしたお客様にいただいたそんな言葉を思い出します。


インフルエンザとコロナとごちゃ混ぜになって風邪が流行っているようです。
どうぞ、皆様お気をつけて、そしてドクターのみなさま、どうぞご所蔵の絵画に癒されながらお仕事に頑張っていただけますようお願いいたします。



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遅きに失する?

2024年01月19日 | 村上華岳
昨日は雨のせいか?気温が少し上がったように感じられ「店でコートを着る」ということもなく、また幸い小雨で済んだので、風呂敷に包んだ作品の返却も義娘の運転のおかげで無事に済ませることができました。

我が家のお嫁さんのことを「義娘」、義理の娘と書くことにずっと抵抗がありましたが、今実際に私の仕事が成り立っているのは彼女の献身的なサポートのおかげであり、3歳とまもなく1歳を迎える幼い人たちのお世話をしながら、店や私のことに心を砕いてくれる一人の若い女性に、私はまさに恩情を深く感じています。

女性同士。

血のつながりのある母親と娘より、側にいてお互いの人生を見守りながら共に年月を経ていく姑と嫁の関係の方がより人間的なつながりに生きていけるのではないか?とこの頃考えます。

任侠映画の見過ぎ?(笑)かもしれませんが義理、人情の世界に生きるという大切なことをこの「義娘」という文字は私に思い出させてくれるのです。


ブログに、どのような方たちがお立ち寄りくださっているかはよくわかりませんが、毎日何人ほどの方が訪問してくださっているかは、書き手の私に情報が入るようになっています。

昨年夏以降、年末まではびっくりするようなアクセス数もみかけましたが、最近では「以前と同じ」ほどの皆様にこちらにお立ち寄りいただいているのがわかり、ほっと安心しています。

「夏美さんは、お店をどうするつもりなのだろう?」
ブログをご覧くださるみなさまにも、ずっとそんなご心配をおかけしてきたことと思います。

私自身がずっと「混乱」のなかにあり、そのご質問にお答えすることもできませんでした。

たとえそれが店の営業として「遅きに失する」ことであっても、私は自分の身の上に起きたことに、どうしてもしばらく佇むしかなかったのだと思います。



2月半ばより展覧会を開かせていただこうと思っています。

その内容などについては、また少しづつ書かせていただきたいと思いますが、
今朝早く目が覚めてしまってお布団の中で気になる動画をみていますと「稼ぎ」と「務め」は別物であるという言葉に出会いました。

稼ぎと務め。

私はまさにこのことにも立ち止まっていたのだということに気づきました。


定年の歳、61歳のお誕生日を迎える直前に佐橋とお別れをしなくてはいけなかった私には「何のために仕事をするのか?」がとても重く、或いはとても意味の深い課題となりました。佐橋の残した宿題さえ片付ければ、わずかな年金をあてにしてこれから先を暮らしていくことはできそうです。






しばらく飾っていなかった華岳の白椿を今日店に出たら、土壁の部屋に掛けて眺めてみようと思います。

華岳にとって、絵を描くことは稼ぎであったのか?果たして務めであったのか?そのどちらでもない世界に苦しみ、何かを夢見ていたのか?
また感じ、考えたいと思っています。

ぼんやりとですが、見えてきたものもあります。

そんなこともブログを書かせていただけるよう、とりあえず今日の暮らしと仕事を大切に過ごしたいと存じます。






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2024/01/17

2024年01月17日 | 日記・エッセイ・コラム
昨日、今日は本当に寒く、店の暖房もあまり効かないので、仕方なくコートを着て事務作業をしています。

いよいよ松のうちがあけました。


「喪中であるから」お年玉を控えたり結婚式への参列や旅行をせずに静かに暮らすべきなどというところまで拘る時代でもなくなっていますので、そう気にすることではないと思うのですが、

やはり皆様がおめでとうございますとご挨拶をされていらっしゃるなかに
好んで加わるわけにもいかず、少し遠慮がちに年明けの2週間を過ごして参りました。




とはいえ、このお寒さでは、松の内が明けてもなかなか活動的に動こうとする気にもなれないものです。

(よく陽の入る図書室もなんとなく寒々としています)




こんな時は、織田広喜作品がとても温かく感じられます。





また遠目から見る今西の裸婦も、裸婦なのに??なんだかふっくらと温かそうです。今西にとって女性は美しいものではなく、温かいものであったのかもしれません。その抒情が今西の魅力だと思えます。

今日も、少し大きな荷物の梱包と明日のために作品を風呂敷で包む作業をしました。
風呂敷画商という言葉があるように、作品は大風呂敷に包むととても持ち運びがしやすくなります。



が、風呂敷をピン!ときれいに作品に沿わせて包むのはとても難しい作業です。

今日、当店の倉庫にお預かりしていた各お客様のお作品のご返却、発送の目途がすべてつきました。それに付随していたトラブルもおかげさまで無事に解決いたしました。

明日この風呂敷を担いで出かければ、本当の意味で松のうちがあける、そう思えます。

佐橋の残した宿題は、本当に少しづつ少しづつですが、私なりに片付け続けて、いよいよ残りもわずかになってきています。

歳神様がお帰りになり、お正月が終わり、これから新しい一年の生活が始まります。

ここからは皆様とご一緒に、私も新しい一年を新しい気持ちで過ごして参りたく存じます。






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