あるきメデス

あちこちを歩いて、見たこと、聞いたこと、知ったこと、感じたことなどを…

佐倉市立美術館と佐倉散策(千葉)

2011-08-05 12:07:47 | ウオーキング
 2011年8月3日(水)

 久しぶりに連れ合いと出かけた。目的は、佐倉市立美術館で開催中の「平田郷陽(ひらた
ごうよう)の人形」展の観覧である。

 京成本線の佐倉駅に11時半頃下車し、駅前にある佐倉市観光協会↓に寄り、「佐倉散策
マップ」など数点の、市内観光用の参考資料を入手した。


 観光協会の横の通りを南に向かう。近くの肉屋さんの片隅に、クリの飾り物が置いてある。
クリと肉とはどういう関係があるのだろうか…。


 通りの向かいには、古くからの店と思われるせんべい店があった。 


 駅から10分足らず、通りの突き当たりのクラシックな建物が、佐倉市立美術館。


 表側の建物はエントランスホールと呼び、大正7年(1918)に川崎銀行佐倉支店として建
てられた。その後、佐倉町役場や市役所、公民館として利用され、平成6年(1994)に市立
美術館になったという。


 建物は、ネオ・ルネサンス様式と呼ばれるもの。設計した矢部又吉がドイツに留学した頃、
ヨーロッパで流行していたといわれ、ヨーロッパの様式に基づきながらも、屋根を切妻風に
仕上げ、城下町佐倉の古い町並みとの調和を図ったようで、現在は、千葉県文化財に指定
されている。


 さて目的の「平田郷陽の人形」展は、エントランスホールの奥の、こちらの建物↑(反対の
南側から見たもの)の2階で開催されていた。


 平田郷陽(1903~1981)は、人形師である初代郷陽の長男として東京・浅草に生まれ、
20歳で2代目を襲名している。

 初期は、迫真的な人間を表現する作風で高い評価を受け、人形作者では初めての帝展で
入選を果たしたが、しだいに作品やテーマを抽象化させ、戦後は人形独特の美を、女性の
姿に託して表現し、人形師としては初めての無形文化財保護者(人間国宝)になっている。


 会場では、昭和初期から戦後までの作品106点が展示され、素晴らしい作品にひかれる
とともに、作風の転移の様子がよく理解できた。

 ちなみに、なぜこの展覧会に行ったかというと、私の職場の上司でもあり、8ミリ映画づくり
のグループで20年余り、作品づくりについてのご指導もいただいた、Hさんがお持ちの、昭
和5年(1930)の作品「静春」という作品が展示されているから。

 「静春」は、Hさんが何年か前、テレビ東京系の人気番組、「開運!なんでもお宝鑑定団」
に出品され、数百万円の鑑定を得ている平田郷陽の代表的な作品のひとつで、今回初めて
実物を拝見することができた。

 なお、この展覧会は佐倉市美術館で、8月28日(日)まで開催されている(月曜休館)。

 観覧を終えて美術館を出て、午後は市内を少し回ってみることにした。西に少し進むと、昔
の高札場跡らしいところに、高札のスタイルで幾つかの掲示が並んでいる。


 すぐ先の新町交差点には、旧佐倉町道路原標がある。佐倉町の当時はこのあたりが町の
中心だったのだろうが、いま原標の周囲は草が生えていて、往時の面影は少ない。


 その交差点を左折して南に向かと、古い建物が残っていた。400年前から続くという平井
家で、土井利勝が佐倉城を築城した際の棟梁・平井優兵衛が祖先だという。


 平井家は、江戸時代は代々薪炭商を営み、明治に入っては佐倉郵便局の先駆けを担い、
その後、酒店を経営したが、平成20年にこの地と建物を佐倉市に寄付したとのこと。
建物は、明治19年(1886)の大火後に建て替えられたものらしい。

 13時近くなったので昼食をと思い、食事の出来るところはないか探しながら進んだら、次
の通りにそば処があった。

 入ろうと店内をのぞいてみたら、何人かが待っていたのであきらめ、近くに看板の立って
いた700mほど先の店に向かうことにする。

 家並みが途切れて南南東に向かって緩やかに下り、国道296号バイパスの鏑木交差点
に出た。高崎川の鏑木橋を渡ると、和風の造りの佐倉警察署↓があり、はす向かいにあった
店で昼食をした。


 ぱらついていた雨が上がり、青空が少し見えてきて蒸し暑い。鏑木交差点に戻り、バイパ
スを西へ、次の信号を北に入り、高台に向かう薬師坂を上がる。途中に、地蔵堂があり、等
身大くらいのお地蔵さんが祭られていた。


 台地まで上がって、西に進む静かな通りは「武家屋敷通り」と呼ばれ、江戸時代は家老の
若林家を始め、佐倉藩政を支えた上・中級武士の屋敷が建ち並んでいたという。

 その一角に、後の日露戦争で重要な役割を果たした児玉源太郎が、佐倉連隊長時代の
明治13年(1880)から5年住んだという借家跡があった。

 現在もお住まいの武家屋敷のうち、県や市の文化財になっている3棟が有料で公開されて
いる。これはその一つ、屋敷には入らず、門前からのぞかせてもらう。



 往時の面影の残る通りを、西端にある寺院、大聖院の裏手まで進み、りっぱな孟宗竹の
竹林に挟まれたひよどり坂を下る。


 折り返すように北側の坂を上がり、佐倉市民体育館の横に出て左折して西へ。日本瓦の
和風な造りの佐倉中や、佐倉東高の先に進んで、国立民俗博物館のくらしの民家苑に入る。


 苑内では、毎年この時期に開催する「伝統の朝顔」の展示中。見たことのない花や葉の
珍しい朝顔がたくさん並んでいたが、詳しくは別稿にて紹介する。


 15時半を過ぎたので国立民俗博物館の観覧は止めて、そろそろ帰路につくことにする。


 植物苑の西側から、佐倉城趾の空堀の横を下って、姥が池のほとりへ。池のほとんどを
埋め尽くすスイレンの白い花が咲き出していた。



 東側に広がる菖蒲田や草地の間の遊歩道を進んで、住宅街に入る。国道296号と平行
する南側の旧道に、以前来たときにも見た、かやぶきの民家が残っていた。


 市役所の南側で、国道から駅前に通じる車道に出て、駅に向かう。国道沿いのレストラン、
ガストの壁面は、遮熱のためのゴーヤーがいっぱいに伸びている。


 京成成田駅には、16時半頃に着いた。

(天気 曇一時雨、距離 5㎞、地図(1/2.5万) 佐倉、歩行地 佐倉市)


 この日、8月3日、朝日新聞東京本社版夕刊、「be evening」の「美の履歴書」に、美術館で
観賞した、平田郷陽の作品「薬玉」(くすだま)が取り上げられた。



 佐倉市立美術館のウェブページはこちら


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湯の丸高原 池ノ平湿原ハイキング(長野)

2011-08-02 11:32:29 | ハイキング
 2011年7月31日(日)

 軽いハイキングを楽しむグループ、「カタクリの会」の第43回例会で、浅間山の西、湯の丸
高原の一角にある池ノ平(いけのたいら)湿原を訪ねた。

 朝7時50分、青梅市にある事務局のKさんの住宅から、2台の車に分乗して出発する。雨
模様の中、圏央道から関越自動車道に入って上里SAで休憩、さらに上信越自動車道に入り、
佐久平PAで2度目の休憩をとる。途中はかなりの雨だったが、佐久平に入ったら上がった。

 東部湯の丸ICで上信越道を下り、別府交差点からは1丁(約110m)ごとに立つ、百体観音
石造町石(ひゃくたいかんのんせきぞうちょうせき)と呼ぶ石の観音像を眺めながら、県道94
号を次第に高度を上げ、10時50分に地蔵峠(標高1732m)にある湯の丸高原駐車場に着
いた。

 夏季シーズン中の7月中旬~8月中旬の週末と休日は、ここから東方の高峰温泉方面に抜
ける湯ノ丸高峰林道は、マイカー規制となり、シャトルバスを利用することになる。

 11時発のシャトルバスは10分余りで池ノ平駐車場に着いた。小雨模様だが、たいした降り
にはなりそうにないので雨具は付けず、傘だけで湿原を目指すことにして11時20分に出発した。

 西に向かって緩やかな稜線を上がる、「見晴歩道」と呼ぶ遊歩道へ。草地にハクサンフウロ
やウスユキソウ↓が花を見せ、ヤナギランも咲き始めていた。


 カワラナデシコも多いが、雨に濡れて花の先は垂れ下がっている。ワレモコウも、広い草地
でたくさんの花を咲き競っていた。ところどころで、マツムシソウが開花し始めている。


 雨は間もなく止みガスが少しずつ上がり、南側の池ノ平湿原が見下ろせるようになった。雷
の丘(2108m)に上がり、最初の小休止をして傘をザックにしまう。


 さらに、ウグイスのさえずる見晴歩道の稜線を進む。咲き出したヤナギラン↑の群落、アヤメ、
ヤマブキショウマ、ウスユキソウ、ノアザミ、ヤマオダマキなどの花があちこちに咲いている。
針葉樹林の間からは、南側の東御市(とうみし)の家並みなどの展望も得られるようになった。


 標高2,110m、今日の最高点である「雲上の丘」に着いた。眼下に池ノ平湿原の鏡池や、
湿原を貫く木道などが見下ろせる。小休止して、まずは記念撮影をした。



 西南に向かって緩やかな下りとなり、樹林の下にはシャジクソウ↑、ヤマホタルブクロ、カワラ
ナデシコ↓などの花が目に入る。



 うっそうとした針葉樹に覆われた「ピグミーの森」↑を抜けると、開放された草地となり、クガイ
ソウやヤマブキショウマ、コキンレイカ、シモツケ、イブキジャコウソウ、マツムシソウ↓などのお
花畑を抜けて、標高2,095mの見晴岳のピークに上がった。


 腰を下ろすのによい石ころが多く、天気もしばらく持ちそうなので、ここで昼食とする。


 西側に、TVの中継用らしいアンテナ塔が立っている。食事を終える頃には、南側眼下の展
望がさらに開け、東御市一帯の家並み、田んぼや畑、林などが、かなり広範囲に見えてきた。


 食事を終え、12時50分に湿原に向かう。

 少し下って、南東に向かう三方ヶ峰への遊歩道に入ると、稜線の南側は金網と柵で仕切ら
れていて、砂礫の間にたくさんのコマクサが咲いていた。

 盛りは少し過ぎたようで、形も小さめだが、これだけ多くのコマクサが群生しているところは、
そう多くはないだろう。コマクサに混じって、オヤマソバなども咲いていた。


 下る遊歩道沿いにも、シモツケ、クガイソウ↑、ミヤマバイケイソウ、コオニユリなどが花を見せ
ていた。湿原の中のただ一つの池、鏡池が近づき、木道のところに下った。



 四方を針葉樹に囲まれた池の平の湿原が広がり、鏡池の向こうには、ヒオウギアヤメだろう
か、ムラサキの花が一面に広がっていた。



 木道の十字路から、東に延びる木道を進むことにする。


 すぐ先の斜面上に、「忠治の隠岩」という大岩があり、その下に木のベンチが設けられ、休憩
用の広場になっている。周辺には、マルバダケブキが開花し始めていた。木道を進むと、ノハナ
ショウブがあちこちに花を見せる。



 モミなどの針葉樹が増え、少し高見に上がってコケモモラインと呼ぶ木道に入ると、ガスが
増えて湿原の遠望が利かなくなる。しかし雨にはならなかった。


 忠治の隠岩方面からの木道の合する辺りにも、「グリーン広場」と呼ぶ休憩場所があり、木の
ベンチが幾つも並んでいた。


 北東に向かって緩やかな斜面を上がる道には、オオヤマオダマキやコオニユリ↑などが咲く。
ニッコウキスゲやコオニユリが咲き競う、スタート地の池ノ平駐車場には、13時50分に戻った。


 14時発のシャトルバスに乗り、15分ほどで湯の丸高原駐車場に着く。すぐに帰途につき、
2台の自動車は14時18分に出発する。県道79号の別府交差点に近くにあった、イタリアン
チーズ店と道の駅雷電くるみの里に寄り、土産物などを求める。

 帰路は小諸ICから上信越自動車道に入り、甘楽PAで小休止し、再び雨となった関越道へ。
嵐山小川IC付近からはやや渋滞したが、圏央道の狭山PAに17時40分に着き、2台の車
はそれぞれの帰路に向かった。

 【コースタイム】Kさん宅7:50=上里SA8:50~9:07=佐久平PA10:00~10:05=東部湯の丸
  IC10:20=湯ノ丸駐車場10:50~11:00=(シャトルバス)=池ノ平駐車場11:15~20ー雷の丘
 11:40~47ー見晴岳(昼食)12:22~50ー三方ヶ峰方面三差路13:02ー鏡池13:10~15ーグリ
 ーン広場13:35ー池ノ平駐車場13:50~14:00=(シャトルバス)=湯ノ丸駐車場14:15~18=イタ
  リアンチーズ店14:38~48ー道の駅雷電クルミの里14:55~15:13=小諸IC15:20=甘楽PA
  16:03~?=狭山PA17:40=武蔵藤沢駅18:10    (注) = 自動車走行 ー 歩き

 (参加 9人、天気(現地) 曇一時雨、距離 3.5㎞、地図(1/2.5万) 車坂峠、歩行地
  東御市、累積標高差 約300m)


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コメント (2)
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