OMOI-KOMI - 我流の作法 -

For Ordinary Business People

先達の読書 (私の読書法(大内 兵衛・茅 誠司 他))

2010-02-02 19:41:09 | 本と雑誌

 この本も、本棚の奥の方から引っ張り出したものです。

 初版は1960年、私が読んだのは1979年版第25刷ですから、大学生のとき買ったものです。
 雑誌「図書」に連載されたものをそのまま再録ているのですが、著者陣は錚々たる方々です。加藤周一氏ですら one of them という感じです。

 その加藤氏の「読書の楽しみ」という章で興味を惹いた「本居宣長とモンテーニュとの比較評価」についてのフレーズです。

 
(p28より引用) あれほど沢山の本をよんだ両家の随想録を今よみくらべてみると、遺憾ながらわが宣長のはるかに彼の西洋人モンテーニュに及ばないことを感じる。学者として宣長が上であったかもしれない。しかし文士・思想化としては、比較を絶してモンテーニュが上である。見聞の記録がモンテーニュに多いからではない。見聞によってモンテーニュの読書のよみが深くなっているからである。

 
 次は、評論家蔵原惟人氏が言う「批判的読書」の方法です。
 自分の考えをしっかり持ちつつも、それを読書により得られる外部の智慧でさらに磨いていこうとする姿勢、これは、まさに読書に対する構えとしては王道ですね。

 
(p40より引用) 私はいつも書いてあることに自分の考えを対置しながら読んでいるが、これはなかなかむずかしいことだ。自分の主観によって著者の意見をゆがめて読んだり、自分に近い著者の間違った見解に引きずられたりする。書物を批判的に読みながらそこから学んでゆくこと、これがほんとうに出来るようになればたいしたものだと思う。

 
 さらに、プラトンの著作の訳出等で有名な哲学者田中美知太郎氏の「読書の配合」についてのくだりです。

 
(p94より引用) 今でもわたしは、そんな風にして違った方向の読書もまぜることにしている。・・・貧しい材料でも、うまく配合を考えて、そこからバランスのとれた健康的な食事を用意する、一種の料理法みたいなものが、読書についても考えられるのではないかと思うだけである。もっともこんなことは、面倒な料理法などを神経質に考えるよりも、自然の要求に従って読めば、それでいいことなのかも知れない。

 
 このあたりの意識していろいろなジャンルの本を混ぜるという方法は、(恐れ多い言い様ではありますが、)私の読書傾向とも似たところがあるように思いました。
 
 

私の読書法 (岩波新書 青版 397)
価格:¥ 591(税込)
発売日:1960-10

↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
素晴らしい すごい とても良い 良い

TREview
TREviewブログランキング

人気ブログランキングへ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする