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ビジネスで使える 超一流 おもてなしの心・技・体 (里岡 美津奈)

2014-09-20 09:17:19 | 本と雑誌


 最近、出勤途上で聞いているpodcastの番組「The Lifestyle MUSEUM - Tokyo FM」で著者である里岡美津奈さんの話を聞きました。そのときの内容と彼女の話しぶりにちょっと興味を持ったので読んでみた本です。

 里岡さんは、搭乗歴約25年の元ANAのキャビンアテンダント(CA)で、トップCAとして皇室をはじめとした数多くの世界的VIPの接遇を経験された方です。
 彼女によれば「超一流の接遇」は以下のようなものだと言います。


(p6より引用) 超一流の接遇とは、短い時間の中でも、大勢のお客さま一人ひとりに対して、その方が必要とするサービスを、もっとも適切なタイミングで提供、提案できることです。


 これは「お客様一人ひとり」に対して各々異なった接し方を求めるものです。
 「VIPの方々は事前にそのプロファイルを頭に入れることができる分、ある意味、接しやすい」と里岡さんは語ります。むしろ、一般の不特定多数のお客様の方が、接したその瞬間にできるだけ多くの情報を読み取る必要があり、さらにそれに応じた対応を取らなくてはならないので、かえって難しいのだそうです。

 そういった対応を実現する気構えを里岡さんは、こう指摘しています。


(p7より引用) やわらかく、張りのある心の状態を、つねに(これが重要です)保っておくこと。
 それが、接遇者に望まれるマインドだと私は考えています。


 お客様のどんな微かなサインも見落とさない敏感な神経と、それを感じさせない所作との両立、そしてそういう状態を”いつも”保っておくことは並大抵のことではありませんね。
 「おもてなし」「接遇」は、最終的には(いい言い回しではありませんが)「自分の全人格」を”商品”としてお客様に提供するものです。里岡さんは、そのために、自分を「高める」ことを日々心掛け、自分自身を厳しく律し続けてきた方のようです。


(p188より引用) 続ける人はやはりひたむきです。あれもこれもと浮気をしません。自分自身を高めることには貪欲ですが、自分にないものをやみくもに求めることはありません。物事を損得で考えませんから、目先のお金や、地位や権威に執着することもないでしょう。・・・
 それを続けることが、自分にとって心地よいのだということをつかんだら、続けないではいられなくなるのです。


 里岡さんは、すべてのお客様に対して” 等しく”サービスを提供することを求めています。これは、すべてのお客様に”同じ(画一的な)”サービスを提供することとは対極にある姿勢です。


(p90より引用) 私が理想とするスタイルは、お客さまが、サービスされているということをことさらに意識しなくても、気づいたら心地よくすごせていたという接遇です。


 お客様の求めに(あるいは求めないことに)自然体で応える、日本的な”引き算の文化”の具現であり、また、仄かに”老荘”的な香りもする信念ですね。

コメント
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