いつも聴いている笑福亭鶴瓶さん、上柳昌彦さんのpodcastの番組に北方謙三さんがゲストで出演していて、そこでのお話がとても面白く印象に残りました。
北方さんの著作は、かなり以前に何冊か呼んだことがあります。まだ “ハードボイルド” をお書きになっていたころですが、お話を聴いていると何とも懐かしく、往時の作品を読み直してみようと思い手に取った本です。
やはり、このころの「和製ハードボイルド作品」は “いいな” と思いますね。もちろん物語の舞台は非現実的な世界ですが、作者のパッションを感じますし、“懐かしさ” も大きなプラス要因です。
本作も、主人公を無謀な行動に駆り立てる動機や登場人物のキャラクタ設定は月並みではあっても、北方さんのストーリーテラーとしての秀でた構成力や緊迫したシーンを描く筆力が、作品のエンターテインメント性を際立たせているようです。
ネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、印象に残ったところをひとつ。
(p204より引用) 右手首のブレスレットがなかった。女房に渡したのだろう、なぜかそんな気がした。訊く気は起きなかった。
いかにも “正統派ハードボイルド” っぽいフレーズですね。