せっけい日和

MKデザインスタジオ一級建築士事務所柿本美樹枝のブログです。設計者として、生活者として、多用な視点で綴っています。

建築の新しい予感

2012年11月16日 | ものづくり

これまた嬉しいニュース。
といっても、私のことではありません。

世界で活躍する女性建築家のコンペ一等賞!のニュースです。

新国立競技場の国際デザイン・コンクールは、新聞にも大きく公募の広告が出たので、ご存知の方も多いと思います。

広く世界に呼びかけたコンクールで、久しぶりに注目の実施コンペ。

ただし、応募資格には実績が必要なので、入選者は結局いつもの顔ぶれです。

最優秀賞のザハ・ハディド氏(英国の設計事務所)は、有機的でありながら鋭く尖った建築のデザインも多く、空間が傾いたりしています。その案は、一目見て「ザハの案よね」と、設計に関わる誰をも、納得させる力強さがあります。

そして、どうやって作るの?
いったいこれは何?

と、ギョッとするものもあり、実現していないものも実際には多いのです。

今回の案は、割と落ち着いている方かな。
でも、カッコいい!

私はこの案が通ってくれたらいいな、ザハの建築を日本人が建設できなくて、どの国で実現するのよ~という想いもあり、優秀賞に選ばれて嬉しいですね。

まだまだ、世界で名を連ねる女性建築家が少ない中、粘って自分の方向性を曲げないで来られた方の案が、通ってくれたことが嬉しいです。時代が彼女に追いついてきたのかもしれません。

案はここには掲載できませんが、興味のある方はニュースページをご覧下さい。
http://jp.wsj.com/japanrealtime/blog/archives/15446/

ただし、手放しで喜んでいる訳ではありません。
上記ページに記載はありませんが、このプロジェクトの総工事費は、1300億円を見込むそうです。

この国の投資を、一般市民にも広く知ってほしいですね。

復興費にまわせないのか?という疑問を抱く方もおられるかもしれません。

この矛盾は、建築に関わるものがいつも感じるものです。

そこで、

今、このタイミングで、
このプロジェクトに関わる方には、これまでの維持管理費が膨大にかかるコンクリートの固まりではなく、新しい技術で環境と人への配慮を、最大限努力してもらいたいというのが望みです。

施工の力も多いに試されるでしょう。
日本の文化として誇れるものを!

そして、もう一点。

全体像は分かりますが、人のスケールでどのような空間になるのか、それはまだ未知数。
これから詳細が詰められる中で、

人への新しい感動空間を!

期待しています。