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今年はじめから綴っている合氣道の話の、第3段です。
実は、合氣道の稽古をしながら、その真髄は
設計監理に携わっている伝統的建物の
構造的特性になんて似ているのだろう!
と思っています。
日本の文化の原点なのか、、、、
日本人独特なものなのか、、、、
などなど、想い巡ることがたくさんあり、
今回は、その発見した共通点!
をブログ読者の皆様と共有したいと綴ります。
1) 合氣道の一人技、立ち姿の統一は、
伝統的建物の、重い瓦屋根を乗せて太い梁と
均等に配置した柱で安定させた構造に類似。
伝統的建物は、基礎に柱を緊結していません。
いわゆる石場立て。
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↓熊本地震で倒壊を免れた蔵の大黒柱。
石の上でずれて止まっている形跡あり。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/cd/17ff1529555e1fc3cee4c139aac9c71d.jpg)
合気道の立ち姿勢の基本は、
全身の重みを地面に伝えてるイメージで立ちます。
重心を臍下の一点に起き、そこから足の指先まで
氣が出ていることを意識したものです。
この姿勢だと、前から押されても、後ろから押されても
倒れないのです。
意識していないと、わずかな力で途端にグラッときます。
伝統的建物の重みが下に行き、
その基礎と柱の間の摩擦抵抗で、倒れない
という点と、似ています。
これを、瓦屋根から金属屋根に変えたら、
受ける水平力(地震力)は減るけれど、この重みが下に行く
力がなくなり、倒れやすくなると思うのです。
だから、現代的な木造の工法では、基礎と柱をつなぐのですけれどね。
2) リラックスした時が、一番強いという人間の特性を生かし、
合氣道では、力をいかに抜くかというのが稽古のポイント。
力を入れすぎると、俄然、技が効かなくなります。
すっと相手の手を持った自分の手にも力を入れません。
氣の流れで人を導く(実際は倒すのですけれど)のです。
伝統的建物も、仕口には遊びの部分があります。
いわゆる「ゆるい接合」です。
柱、梁が木組みで組まれており、
地震力が働くときは、その間に埋められた込み栓が閉まって
動くけれども、外れないという作用が働きます。
ガチガチに金物で固定していないので、
伝統的建物は、常にリラックスしている状態といえるかもしれません。
そして、土壁の漆喰部分を落として、地震力を逃す構造特性も
一つのリラックス状態。
横揺れや回転などの力、時には下からの突き上げにも
耐えてきた熊本地震の伝統的建物の立ち姿を見ると
リラックスしておいて良かったねぇ、
と声をかけたいほどです。
↓床の間横の飾り棚が崩落し、漆喰も剥がれた様子。
相当に揺れたことがわかります。それでも、神棚と仏壇は無事。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/d2/e9278288f0585d61d83f0f8e7dc0a729.jpg)
実際に、現代的工法、金物で固める方法では根元から
ボキッと折れてしまうことがあります。
壊れやすい木造は、つまりこのどちらも中途半端な場合です。
屋根を軽くして、基礎と緊結して構造壁をしっかり配置した木造では
震度7弱では、倒壊しません。(現代の法的な基準に則り構造計算したもの)
伝統的な建物で、木材の劣化や腐れがなく(強度の低下がない)
無理に固めていない、増築などで現代工法に置き換わっていない部分では
大きな揺れが起きても、揺れて、締まって、戻って、元の立ち位置になります。
(土壁部分や瓦の一部は崩落します。)
↓土壁は一部崩落、柱は戻って立っている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/0c/0f7117c82fa761b7b45463f34f7a5b73.jpg)
これを伝統的建物、木組みの家の『復元力特性』と呼びます。
このチカラが、合氣道の『氣』に通じるものではないかと思うのです。
読者の皆様には、分かるような分からないような話でしょうか。。。
言葉で表現するのは、難しいですね。
身体で体験してみると面白いのですけれどね。
復元力と氣の関係性、、、
そんなことを、うふふふ、、と想像しながら、
稽古も、伝統的建物の修復にも取り組んでいる昨今です。
マイナーな建築の話にお付き合いいただき、
ありがとうございました。