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この春で、築125年目になる
古民家の改修工事がいよいよ始まります。
日曜日は、お天気も良く、
梅の花の蕾も膨らみ、春はそこまでという気候の中、
工事の安全祈願祭を行いました。
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熊本地震で倒壊を免れた伝統的な住まいの改修工事です。
ここまで来るには、本当にいろいろありました。
伝統構法の専門家による綿密な調査のご協力を賜り、
工務店さんの良心的な見積りと誠意のある対応があり、
そして、工事費をやりくりなさったご家族、ご親戚。
罹災証明は、「大規模半壊」。
お会いした時には、ご家族は、公費解体を決めておられました。
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もったいないから、ぜひ見るだけでも。。と案内されたその家屋は、
立派なケヤキの大黒柱に、黒光りする太い梁。
内部や外部の漆喰は落ち、なまこ壁も崩落して
確かに、地震の被害はあるものの、軸組のしっかりしていること!
北側の床の傾きは、おそらく柱のシロアリ被害か腐れによるもの。
地震だけの被害ではなく、経年変化によるものも大きいと見受けられました。
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何度か調査に伺い、小屋裏の様子、できるだけ床下も確認し
これは、まだまだ修復で十分住める!と判断。
奥様が気にされていた梁のヒビも、地震でというよりは乾燥割れ。
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これまで、建物修復支援ネットワークのH氏、
熊本県立大学の先生に研究室の学生さん
そして、日本民家再生協会の仲間と
調査、確認、ヒアリングなどを行い、
限界耐力計算の構造専門家にも教えを請い、
修復しよう!という結論に至りました。
壊さなくて良いとわかった時の、ご主人の安堵したお顔を
私は一生忘れないでしょう。
ご近所の方も「この家を壊さないと分かって、自分の事のように嬉しい。」
と言ってくださっています。
壊すことは、簡単。
でも、造り直すことは容易ではない伝統構法の住まい。
先先代の建てられた家屋。
思い出の沢山詰まった家屋。
地域に、家族に愛された家屋。
私も、このお住まいに関わらせていただく喜びを噛み締め、
そして、工事の安全を祈りながら
生かされ続ける住まいをしっかりと設計監理し
今は亡き、先代の匠たちに恥じない仕事をしよう!
と誓ったのでした。
ご家族は、仮設住宅暮らしで当分は不便になります。
それでも、帰って来られた時には、美しさもアップし、
待った甲斐があったと思っていただけるように、
しっかりと改修、補修、補強工事に取り組んで参ります。