宮崎駿監督、『風立ちぬ』、7/21、ワーナー・マイカル・シネマズ筑紫野にて鑑賞。2013年33本目。
宮崎駿監督の最新作『風立ちぬ』を公開二日目で観てきました。
前作(『崖の下のポニョ』)越えの大ヒットスタート!とネットニュースで騒がれている割にはお客さんの入りは程々でした。もっとチケット売り場で長蛇の列が出来るかと思ってたんですけどね。
宮崎駿の最新作にして遺作、そして最高傑作という評価も聞き及ぶ本作ですが、自分は正直あまり好きじゃないかな。
百人が百人絶賛するのも面白くないので、拙ブログでは否定的なレビューを書くことにしましょう。笑。
まず気に入らないのが公式サイトのヒロイン菜穂子の扱いです。
彼女を指して「薄幸の少女」とあるんですよね。
ゴメンなさい、彼女のどこが幸が薄いのかがわからない。
確かに結核を患って短命ではあったかもしれないけれど、裕福な家庭に生まれ、容姿にも恵まれ、初恋の人と運命的な再会を果たし、そして結ばれる。
短いけれど、羨ましいぐらいに満ち足りた人生だったんじゃないですかね?
主人公の堀越二郎も個人的に共感できるキャラクターではなかったですね。
幼少のころは戦闘機のパイロットに憧れるが、生まれ持った近視のため、それを諦め、一転、戦闘機の設計者を目指すのですが、彼の生涯において挫折と呼べるようなものは幼少期にパイロットを諦めたことぐらいなんです。
あとはもう本人がやりたいと思うことをやって、後から結果がついてきちゃう。挫折もない、障害もない、失敗もない(少なくとも作品の中でそういったことは描かれない)。
菜穂子とのことも関東大震災の際に彼女を助けると、十年後再会するまで彼女は二郎のことを慕い続けていて、再会した後はこれといった苦も無く二人はくっついちゃう。
やりたいことをやって、それが万事うまく行っちゃう、そういったキャラクターに自分は共感は出来ないし、好きにもなれません。
彼を好きにはなれない理由は他にもあって、菜穂子と結婚し、一緒に暮らすようになっていた二郎は溜まっていた仕事を家に持ち帰るんですよね。結核を患い、体調が優れず横になっていた菜穂子は仕事をしていた二郎に手を握っていてくださいと懇願し、二郎もそれを了承します。
そこまではいいんですよ。
煙草を吸いたくなった二郎が煙草を吸いたくなったから手を離してもいいかと聞くと、菜穂子は(手を握ったまま)どうぞ吸ってくださいと言います。
そしたら驚くことに二郎はその言葉を真に受けて煙草を吸い始めるんですよね。
いくら本人から許しが出たとしても、結核患者の前で平気で喫煙しちゃう二郎の神経は自分には信じられません。
そこは単純に我慢するか、もしくは一時的に席を立てばいいじゃないですか。
自分の目には主人公の二郎が好き放題にやっているように映りましたが、それは監督である宮崎駿に関しても同じことが言えると思います。
本作に関して公開前に一番話題になったのは主人公の堀越二郎の声を声優の経験はまったくない、ずぶの素人である映画監督の庵野秀明が当てたことだと思います。
もし堀越二郎というキャラクターの声のイメージに庵野秀明の声が一番ピッタリだから彼を採用した、というのであれば、何も問題はないし、それが当然です。
しかし自分にはそうは思えないんですよね。
宮崎駿が主人公の声に庵野秀明を起用したのは、彼の声がピッタリだと思ったからというより、単純に彼と一緒に仕事をしたかったから、つまり彼のことが好きだったから、、、としか思えない。
事実かどうかは定かではありませんが、そう想像するだけで気持ち悪いです。
本作が傑作であることは否定しませんが、単純に脚本だけで見るとお世辞にも出来が良いとは言いかねると思います。
例えば本作ではカプローニというイタリア人が登場します。
彼はしばしば主人公の二郎に対し、人生の指針となるような言葉を与えます。
しかし彼は二郎の夢の中にだけ登場するキャラクターなんです。つまり、カプローニを創作したのは他でもない二郎自身と言えます。
自分が作り出したキャラクターの言葉に従うなんて、、、と思いました(この解釈については間違っているという人が多いでしょうね。カプローニはあくまで実在の人物であり、彼と二郎の夢がリンクしただけなのだと。そう思えたらよかったんですけどね。)
何より一番の問題は、二郎にとって何より重要なのがあくまで美しい飛行機を作ることであり、その飛行機がどのような使われ方をしようとまったく頓着しないことですね。
自分としては二郎がそのことに苦悩し、躊躇し、反省する姿を見てみたかったのですが、、、そうなると作品が全然別のものになっちゃうでしょうね。
何やかんやケチをつけましたが、本作が傑作であることを否定する気はないのです。
近作の『ハウルの動く城』や『崖の下のポニョ』などは「観る価値がない」と酷評しましたからね。笑。
本作が宮崎駿の遺作でなければいいと思います。
お気に入り度は★★★、お薦め度は★★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
宮崎駿監督の最新作『風立ちぬ』を公開二日目で観てきました。
前作(『崖の下のポニョ』)越えの大ヒットスタート!とネットニュースで騒がれている割にはお客さんの入りは程々でした。もっとチケット売り場で長蛇の列が出来るかと思ってたんですけどね。
宮崎駿の最新作にして遺作、そして最高傑作という評価も聞き及ぶ本作ですが、自分は正直あまり好きじゃないかな。
百人が百人絶賛するのも面白くないので、拙ブログでは否定的なレビューを書くことにしましょう。笑。
まず気に入らないのが公式サイトのヒロイン菜穂子の扱いです。
彼女を指して「薄幸の少女」とあるんですよね。
ゴメンなさい、彼女のどこが幸が薄いのかがわからない。
確かに結核を患って短命ではあったかもしれないけれど、裕福な家庭に生まれ、容姿にも恵まれ、初恋の人と運命的な再会を果たし、そして結ばれる。
短いけれど、羨ましいぐらいに満ち足りた人生だったんじゃないですかね?
主人公の堀越二郎も個人的に共感できるキャラクターではなかったですね。
幼少のころは戦闘機のパイロットに憧れるが、生まれ持った近視のため、それを諦め、一転、戦闘機の設計者を目指すのですが、彼の生涯において挫折と呼べるようなものは幼少期にパイロットを諦めたことぐらいなんです。
あとはもう本人がやりたいと思うことをやって、後から結果がついてきちゃう。挫折もない、障害もない、失敗もない(少なくとも作品の中でそういったことは描かれない)。
菜穂子とのことも関東大震災の際に彼女を助けると、十年後再会するまで彼女は二郎のことを慕い続けていて、再会した後はこれといった苦も無く二人はくっついちゃう。
やりたいことをやって、それが万事うまく行っちゃう、そういったキャラクターに自分は共感は出来ないし、好きにもなれません。
彼を好きにはなれない理由は他にもあって、菜穂子と結婚し、一緒に暮らすようになっていた二郎は溜まっていた仕事を家に持ち帰るんですよね。結核を患い、体調が優れず横になっていた菜穂子は仕事をしていた二郎に手を握っていてくださいと懇願し、二郎もそれを了承します。
そこまではいいんですよ。
煙草を吸いたくなった二郎が煙草を吸いたくなったから手を離してもいいかと聞くと、菜穂子は(手を握ったまま)どうぞ吸ってくださいと言います。
そしたら驚くことに二郎はその言葉を真に受けて煙草を吸い始めるんですよね。
いくら本人から許しが出たとしても、結核患者の前で平気で喫煙しちゃう二郎の神経は自分には信じられません。
そこは単純に我慢するか、もしくは一時的に席を立てばいいじゃないですか。
自分の目には主人公の二郎が好き放題にやっているように映りましたが、それは監督である宮崎駿に関しても同じことが言えると思います。
本作に関して公開前に一番話題になったのは主人公の堀越二郎の声を声優の経験はまったくない、ずぶの素人である映画監督の庵野秀明が当てたことだと思います。
もし堀越二郎というキャラクターの声のイメージに庵野秀明の声が一番ピッタリだから彼を採用した、というのであれば、何も問題はないし、それが当然です。
しかし自分にはそうは思えないんですよね。
宮崎駿が主人公の声に庵野秀明を起用したのは、彼の声がピッタリだと思ったからというより、単純に彼と一緒に仕事をしたかったから、つまり彼のことが好きだったから、、、としか思えない。
事実かどうかは定かではありませんが、そう想像するだけで気持ち悪いです。
本作が傑作であることは否定しませんが、単純に脚本だけで見るとお世辞にも出来が良いとは言いかねると思います。
例えば本作ではカプローニというイタリア人が登場します。
彼はしばしば主人公の二郎に対し、人生の指針となるような言葉を与えます。
しかし彼は二郎の夢の中にだけ登場するキャラクターなんです。つまり、カプローニを創作したのは他でもない二郎自身と言えます。
自分が作り出したキャラクターの言葉に従うなんて、、、と思いました(この解釈については間違っているという人が多いでしょうね。カプローニはあくまで実在の人物であり、彼と二郎の夢がリンクしただけなのだと。そう思えたらよかったんですけどね。)
何より一番の問題は、二郎にとって何より重要なのがあくまで美しい飛行機を作ることであり、その飛行機がどのような使われ方をしようとまったく頓着しないことですね。
自分としては二郎がそのことに苦悩し、躊躇し、反省する姿を見てみたかったのですが、、、そうなると作品が全然別のものになっちゃうでしょうね。
何やかんやケチをつけましたが、本作が傑作であることを否定する気はないのです。
近作の『ハウルの動く城』や『崖の下のポニョ』などは「観る価値がない」と酷評しましたからね。笑。
本作が宮崎駿の遺作でなければいいと思います。
お気に入り度は★★★、お薦め度は★★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。