この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

大人の事情が悲しすぎる『オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主』。

2014-03-26 20:20:58 | 旧作映画
 普段シネコンで映画を鑑賞されている方は映画というものはまず映画館で公開されて、その後半年ぐらい経ってDVDになり、さらに半年経ってテレビで放映されたり、されなかったりするものと思ってらっしゃるんじゃないでしょうか。
 その流れで強ち間違ってはいないのですが、でも必ずしもそうじゃないんですよね。
 映画館で公開されることなく、いきなりDVDになる映画もままあります。
 そういった劇場未公開映画、いわゆるDVDスルー作品は、例えば主演俳優が日本では知名度が低かったり、日本ではヒットが望めない(と配給会社が判断した)ジャンルだったり、単純に出来が悪かったりと様々な理由で劇場で公開されないのですが、ともかく決して珍しいものではありません。

 ただ、この『オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主』はちょっと珍しいです。
 何しろアメリカ本国では公開されず、日本でのみ公開されたのですから。それはちょっと聞いたことがない。
 なぜアメリカ本国では公開されなかったのか?
 それは大人の事情っていう奴です。
 ではなぜ日本でのみ公開されたのか?
 それもやっぱり大人の事情によります。
 まぁ日本で公開されたといっても大々的にではなく、二館でのみ、それもわずか一週間の限定公開でしたが。笑。

 そんないわくつきの映画なんて面白くないのでは?と思われる方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
 自分は去年劇場まで60本映画を観に行きましたが、その平均よりも上の出来だと思いました。

 この映画、何が嬉しいかといって、原作を限りなくイメージ通りにヴィジュアル化してあるってことです。
 原作付きの映画なんて、映画館に観に行ったら自分のイメージと違ってガッカリするってことがよくあるじゃないですか。
 それがこの映画にはまったくないんです。
 主人公のオッド・トーマスはもちろん、オッドの最愛の恋人であるストーミー、オッドのよき理解者である警察署長、死神であるボダッハ、そしてピコ・ムンドの街並み、すべてがイメージ通りなんですよ。
 オッドがパンケーキを焼くシーンを再現してくれていたのは嬉しかったなぁ。

 もっとも何から何まで原作に忠実というわけではなく、省略した個所もそれなりにあるんですけどね。
 それは原作の小説がかなり長尺なので仕方ないと思います。

 監督はスティーブン・ソマーズ。
 これまで彼の監督した作品を見て面白いと思ったことは一度としてなかったのですが、今回は非常にいい仕事をしていると思いました。見直しましたよ。

 公式サイトの予告編を見て面白そうだなと思った方はレンタルしてもまずハズレではないと思います。
 ただ、この作品のDVDはツタヤでのみレンタルされてるんですけどね。
 日本でのみ公開された映画のDVDが、ツタヤでのみレンタルされる、何となく皮肉だなぁと思わないでもないですが、鑑賞できるだけでもありがたいと思わなくちゃいけないのかもしれませんね。
コメント (6)
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