この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

映画『ガタカ』、最終考察リターンズ、その2。

2018-07-30 23:41:12 | 旧作映画
 ジェロームは旅立ちの日の朝、ヴィンセントに彼が地球に戻ってきたときのために用意した一生分の検査サンプルを見せます。
 けれどよくよく考えるとこの時点ですでにおかしいのです。
 検査サンプルはわずかにアルコールが混じっていただけでエラーになるデリケートなものです。
 そしてヴィンセントが再び地球に戻ってくるのは(戻って来れたとして)一年後のことです。
 一年経年している検査サンプルが検査に合格するはずがありません。どれほど大量にあったとしても役に立つはずがないのです。

 しかしここではそのことに目をつぶるとしましょう。
 では代わりに質問です。
 ジェロームは一生分とも言える検査サンプルをどれぐらいの期間で用意したのでしょうか?
 この質問に明確に答えられる人はおそらくいないでしょう。
 何しろジェロームは日々の検査に使用するサンプルを用意するのもギリギリでしたからね。
 ヴィンセントに隠れて大量の検査サンプルを用意することなど出来るはずもありません。

 自分はジェロームが用意した大量の検査サンプルは偽物だったのではないかと睨んでいます。
 何を根拠に、そう仰る方もいるでしょう。
 根拠はあります。
 出発の前日、帰宅したヴィンセントはジェロームが電話で業者とやり取りをするのを目撃します。
 電話を切ったジェロームはヴィンセントにこんなことを言います。
 「カツラだよ、カツラ。色の違う奴を寄越しやがった。返品は利かないそうだ。あとで請求が来るかもしれないな」
 カツラ?
 作中ヴィンセントが(もちろんジェロームも)カツラを着用するシーンはありません。それにヴィンセントの出発が間近に迫っているというのになぜジェロームはカツラなんて注文したのでしょうか?
 
 ジェロームは業者に確かに何かを注文したのです。
 しかし届いたそれはジェロームが思っていたような色ではなかった。だからジェロームは業者に対してクレームの電話を入れたのです。
 色合いが重要で、ジェロームが至急手に入れる必要があり、ヴィンセントに対してはカツラだと言って誤魔化さなければならなかった何か。
 それが何なのかは言わずとも明白だと思います。

 次回はなぜジェロームが大量の検査サンプルを用意したのかについて説明します。


                                       続く。
コメント (6)
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