今日21:00から、BS-TBSで「夕張に響け 大地の音楽~北海道農民オーケストラ」が放映された。
北海道農民管弦楽団は、1995年の1月に旗揚げ公演した。北海道在住の農家や農業関係者などの音楽愛好家が、農閑期に一堂に会して演奏会を行っているそうだ。今日の放送は、2008年1月に夕張市で行われた演奏会開催に至るまでのドキュメント。2008年3月に放映されたものの再放送だ。
指揮者で代表の牧野さんは、北大のオケでコンマスをやられていた方で、ブドウの有機栽培をやっている。牧野さんがオケを立ち上げた根っこには、牧野さんが学生時代に読んだ、宮沢賢治の「農民芸術概論」の影響があるとのこと。早速ネットで調べてみた。
序論にこうある。「おれたちはみな農民である ずゐぶん忙がしく仕事もつらい もっと明るく生き生きと生活をする道を見付けたい」、そして、「芸術をもてあの灰色の労働を燃せ ここにはわれら不断の潔く楽しい創造がある」と。
番組の中で、「音楽を耕す」という言葉があった。物事を成就させて行く過程を、「種をまき、耕し、実らせる」と、農業にたとえることがある。ただ、農業そのものは、その取り巻く環境は非常に厳しい。そして、夕張市も、財政が破綻し、再建に向けてもがいている。農業も夕張も、種をまくための「土づくり」からのスタートが必要なのかもしれない。
いわきも、夕張同様、炭坑の街であった。昭和40年代に常磐炭坑は閉山し、多くの離職者を出し、人口も流出した。このとき、常磐炭坑が行ったのは、観光への転換。映画「フラガール」をご覧になった方はおわかりだと思うが、常磐ハワイアンセンターを建設し、そこに炭坑従事者やその家族を雇い入れた。閉山後のダメージは、ほかの産炭地と比べて、それほど大きくはなかった。夕張との違いについて言えば、まず、地理的な条件。いわきは首都圏から200キロであり、観光に転換しても仕掛け次第である程度集客が見込まれたこと。そして、夕張は第3セクターで対応していたが、産業構造転換を常磐炭坑が自ら行ったこと、その結果、現在の状況になっているのではないかと思う。
農民オーケストラに戻るが、このオケは、札幌で練習をしている。北海道内から団員が札幌に集まってくる。片道4時間半かけてやってくる方もいる。ちなみに、その方の出席率が一番いいとのこと。農閑期は当然のごとく冬場である。道路事情も言わずもがな。ただただ、団員の皆さんのパワーに敬服するのみである。まさに「不断の潔く楽しい創造」である。
「農業芸術概論」の結論には、「永久の未完成これ完成である」と記されている。思うに、「永久の未完成」になりうる何かをまず見つけ出すこと、そして、それを常に完成に向かって創造していくこと、その成果は、必ずしも完成ではなく、あくまで次へのステップであること。進化していくためのサイクルが、賢治の意図したところなのだろうか。
北海道農民管弦楽団は、1995年の1月に旗揚げ公演した。北海道在住の農家や農業関係者などの音楽愛好家が、農閑期に一堂に会して演奏会を行っているそうだ。今日の放送は、2008年1月に夕張市で行われた演奏会開催に至るまでのドキュメント。2008年3月に放映されたものの再放送だ。
指揮者で代表の牧野さんは、北大のオケでコンマスをやられていた方で、ブドウの有機栽培をやっている。牧野さんがオケを立ち上げた根っこには、牧野さんが学生時代に読んだ、宮沢賢治の「農民芸術概論」の影響があるとのこと。早速ネットで調べてみた。
序論にこうある。「おれたちはみな農民である ずゐぶん忙がしく仕事もつらい もっと明るく生き生きと生活をする道を見付けたい」、そして、「芸術をもてあの灰色の労働を燃せ ここにはわれら不断の潔く楽しい創造がある」と。
番組の中で、「音楽を耕す」という言葉があった。物事を成就させて行く過程を、「種をまき、耕し、実らせる」と、農業にたとえることがある。ただ、農業そのものは、その取り巻く環境は非常に厳しい。そして、夕張市も、財政が破綻し、再建に向けてもがいている。農業も夕張も、種をまくための「土づくり」からのスタートが必要なのかもしれない。
いわきも、夕張同様、炭坑の街であった。昭和40年代に常磐炭坑は閉山し、多くの離職者を出し、人口も流出した。このとき、常磐炭坑が行ったのは、観光への転換。映画「フラガール」をご覧になった方はおわかりだと思うが、常磐ハワイアンセンターを建設し、そこに炭坑従事者やその家族を雇い入れた。閉山後のダメージは、ほかの産炭地と比べて、それほど大きくはなかった。夕張との違いについて言えば、まず、地理的な条件。いわきは首都圏から200キロであり、観光に転換しても仕掛け次第である程度集客が見込まれたこと。そして、夕張は第3セクターで対応していたが、産業構造転換を常磐炭坑が自ら行ったこと、その結果、現在の状況になっているのではないかと思う。
農民オーケストラに戻るが、このオケは、札幌で練習をしている。北海道内から団員が札幌に集まってくる。片道4時間半かけてやってくる方もいる。ちなみに、その方の出席率が一番いいとのこと。農閑期は当然のごとく冬場である。道路事情も言わずもがな。ただただ、団員の皆さんのパワーに敬服するのみである。まさに「不断の潔く楽しい創造」である。
「農業芸術概論」の結論には、「永久の未完成これ完成である」と記されている。思うに、「永久の未完成」になりうる何かをまず見つけ出すこと、そして、それを常に完成に向かって創造していくこと、その成果は、必ずしも完成ではなく、あくまで次へのステップであること。進化していくためのサイクルが、賢治の意図したところなのだろうか。