三度目もツキがあった

　以前に、二度あることは三度あるがツキはない、というブログを書いたが、三度目をやってしまった。
　車内にバッグの置き忘れである。深夜、かなり酔い、たぶん降りる駅を乗り過ごしたのだろう。我に返ったときは、手ぶらだった。
　電車に乗った記憶もないのだから、その時点でどこかに置いてきてしまったのか、と思い、とにかくうちに帰ることにした。　
　朝、6時に最寄の駅に行った。遺失物の登録がないか確認に行ったのだ。パソコンの画面を見ながら、駅員さんは「傘ばかりですね」と返答した。
　ないかあ、とつぶやいて、たぶん飲み屋に置いたままにしたのだろう、と思った。駅員さんは1枚の紙片を渡してくれ、いろいろな電車が乗り入れていますから、他の電車も確認したほうがいいでしょう、といってくれた。
　帰って、8時に北総線に連絡した。10時半に遺失物の確認をしますから、その頃に電話ください、という返事だった。
「えっ、バッグはあるのですか」と、思わず勢い込んだが、まだ分かりません、と冷静な対応だった。
　そして10時半になった。「遺失物で黒いトートバッグありますか」「ちょっと待ってください」「ああ、ありますよ、中身を言ってください」「カメラがあります、キヤノンの…」「入ってます、名前と電話番号を」
　またも光明が降り注ぎ、鉄道会社に助けられた。発見するまでの懊悩は並大抵ではない。まず自己嫌悪。これほど自分がバカと思うときはない。そしてバッグの中身を紛失したあとのフォロー。部屋の鍵が入っている。危ないからキーを取り替えなければならない。銀行系やクレジットカードは入っていなかったが、会員カードなども入っていた。カメラ、撮影した画像、取材した資料と、あれこれ考えるのが面倒になってくる。
　なにより鉄道会社に感謝すると同時に、日本国民の無関心にもホッとした。終電に近い通勤電車はほとんどサラリーマンで占められている。酔っ払っているか疲れ切っている。これが日中の電車なら、まずどこかに行ってしまうだろう。
　ひとつ注文したいのは、複数の電車が乗り入れている線なら、すべての電車にあった遺失物の登録をオンラインでやってほしい。京成、都営、北総線、新京成、京浜急行とあるのが最寄の駅。パソコンの画面で一発で分かればいいのだが、贅沢か。それにしても北総線は、わずか20分の乗車時間で700円の料金である。高いと思うが、この日ばかりは安かった。
　
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