1日の終わりに ~森真理マンドリン教室~

マンドリンと共に暮らす日常のあれこれを、ほぼ毎日綴っています。

センセイ

2009年12月04日 | Weblog
川上弘美作品を読んでいます。
「真鶴」、「溺レる」、「蛇を踏む」、今日読み終わったのが「センセイの鞄」。

月曜日は電車で本に集中していて、中野で降りるところを高円寺まで行ってしまいました。
昨日も今日も乗り越しそうになり、慌てて下車。
読んでいると、景色はもちろん、車内放送もまったく耳に入らなくなってしまいます。

同じ人の作品を続けて読むと、自分の頭の中の言葉づかいが、なんとなく作者と似てくる気がします。
少し前は、DVのような内容の本を読んでいて、気持ちがささくれ立ちました。重苦しかった。

「蛇を踏む」では、不思議な世界に彷徨い込み、「センセイの鞄」ではセンセイの丁寧な言葉づかいにほんわりとし・・・
小説を読むのは本当に楽しいです。

川上弘美作品は、登場人物の名前がなぜかカタカナで出てくることが多い。
先生も、「先生」でなくて「センセイ」。

そして、主人公はいろいろなことを思うのに、たいてい口には出さないで、自分の中にしまい込んでしまう。
感情の起伏が少ない。
「蛇を踏む」では、主人公がうっかり踏んだ蛇が、目の前で女性になって(変身して)、自分が家に帰ったらもうそこにいて、食事の支度をして、「あなたのお母さんよ」などと言うのに、ろくろく追及もしないでその状況になんとなく順応して一緒にゴハンを食べてしまうくらい、流れに身をまかせている。
「センセイの鞄」のツキ子も、考えていることを今言ってしまえばいいのに、とこちらをやきもきさせるけれど、言わなくてもうまい具合にゆっくりと物事が進んだりする。

いつでも白黒はっきりさせたい私としては、なんだか目から鱗の気分でした。
そうやってすべて言葉にして出さなくても、どうだどうだと答えを迫らなくてもいいんだな。
というか、そのほうがずっと居心地がいいんだろうと思えます。

4冊の中では「センセイの鞄」が特に好きで、また読み返しています。
センセイに会いたい。
コメント (2)
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