町田も我がことのように喜んでくれた。
「彩乃ちゃん、凄いね。やれば出来る子だとは思ってたけど、あの一流大学に合格するとは予想以上だった。今度、いつも外食するレストランよりもっと高級なところでお祝いしよう。彩乃ちゃんとお母さんと私の3人で」
町田はやや興奮気味にまくし立てた。
「先生のおかげです。世間から隔離された私達を率先して自宅に置いてくれて。そんな人は他にいないです」
彩乃の目は潤んでいた。佐世子は2人のやり取りを微笑ましく見ていたが、この後、町田にある決心を伝えなければならなかった。4月からは彼女の家を出て、自立して暮らすことを。すでに1年近く前から決めていたが、折角やりがいを見つけ、勉強に集中している彩乃に悪影響を与えてしまうかもしれないと思い、佐世子は黙っていた。しかし、もはやその心配はない。佐世子母娘にとって町田は恩人である。しかし、もし町田がこのまま一緒に暮らしたいと考えていたとしても、その部分だけは譲れないと覚悟は決めていた。
数日後、町田にそのことを話すと「寂しくなりますね」と言いながらも快く応じてくれた。佐世子は家賃を1万円しか払っていないのを気にして、町田に聞いてみた。すると町田は「逆にこちらから払ってでも住んでもらいたかった」と話した。佐世子が「何かご希望はないですか?私や彩乃に出来ることと言えば限られていますが」と尋ねると、町田は「この1年半が掛け替えのないプレゼントでした」と何も望まない。しかし、しばらくして思いついたようだ。
「ああ、それなら1つだけ」
町田は遠慮気味に口にした。
「『お姉さん』と1度呼んでもいいですか?」
佐世子は町田メンタルクリニックでの似たような出来事を思い出していた。
「彩乃ちゃん、凄いね。やれば出来る子だとは思ってたけど、あの一流大学に合格するとは予想以上だった。今度、いつも外食するレストランよりもっと高級なところでお祝いしよう。彩乃ちゃんとお母さんと私の3人で」
町田はやや興奮気味にまくし立てた。
「先生のおかげです。世間から隔離された私達を率先して自宅に置いてくれて。そんな人は他にいないです」
彩乃の目は潤んでいた。佐世子は2人のやり取りを微笑ましく見ていたが、この後、町田にある決心を伝えなければならなかった。4月からは彼女の家を出て、自立して暮らすことを。すでに1年近く前から決めていたが、折角やりがいを見つけ、勉強に集中している彩乃に悪影響を与えてしまうかもしれないと思い、佐世子は黙っていた。しかし、もはやその心配はない。佐世子母娘にとって町田は恩人である。しかし、もし町田がこのまま一緒に暮らしたいと考えていたとしても、その部分だけは譲れないと覚悟は決めていた。
数日後、町田にそのことを話すと「寂しくなりますね」と言いながらも快く応じてくれた。佐世子は家賃を1万円しか払っていないのを気にして、町田に聞いてみた。すると町田は「逆にこちらから払ってでも住んでもらいたかった」と話した。佐世子が「何かご希望はないですか?私や彩乃に出来ることと言えば限られていますが」と尋ねると、町田は「この1年半が掛け替えのないプレゼントでした」と何も望まない。しかし、しばらくして思いついたようだ。
「ああ、それなら1つだけ」
町田は遠慮気味に口にした。
「『お姉さん』と1度呼んでもいいですか?」
佐世子は町田メンタルクリニックでの似たような出来事を思い出していた。