四月一日(木)曇り。
いやはや夜来からのものすごい強風で、中々寝付かれなかった。我が陋屋は、風の通り道にあるせいか、その影響がすごい。ガタガタ、バタバタという騒音にいつも悩まされる。家が壊れるかと思うほどの音がする。マイッタ、マイッタ。
テレビのニュースで知ったのだが、海上保安庁は、霧の濃い日などに、船の事故を防ぐために鳴らす、「霧笛」が、レーダーやナビゲーションの発達で、廃止すると発表した。霧笛は北海道や東北に多く、関東は犬吠埼灯台と東京湾の第2海堡(千葉県富津市)が現存するのみ。この2カ所が3月末で廃止され、関東以南の海岸から霧笛が消える。
そこで、「霧笛」のことを調べてみた。明治12年(1879)12月20日、青森県下北半島北東端の尻屋崎燈台に日本で初めての霧笛(Foghorn)が設置された。この日が霧笛記念日となっている。 霧笛は霧が出やすく灯台の明かりが見えにくくなる灯台に設置が広まったもので、現在霧笛を出す灯台が20弱残っている。「霧笛」を出すのは灯台だけとは限らず、霧の発生しやすい場所には「霧信号所」というものがあるそうだ。
霧信号所(きりしんごうしょ)とは航路標識の一種、音波標識である。霧や吹雪などで視界が悪いときに船舶に対し音で信号所の概位・方向を知らせるものである。音を使うために風や付近騒音の影響をうけやすい弱点がある。霧笛(むてき)と呼ばれることもあるが、船舶の汽笛による霧中信号(視界制限状態における音響信号)と混同されて使われていることが多い。
多くは灯台に併設され、その鳴り方(周期:音を鳴らす時間と止めている時間の組み合わせ)が信号所ごとに異なるため、どこから発せられているものか識別できるようになっている。音の発し方は多くがダイヤフラムホーンであるが、すでに廃止されている犬吠埼霧信号所ではエアサイレンを採用していた。
近年、舶用レーダーやGPSなどの航海計器の普及により、視界不良時においても容易に測位が可能となったことから、2007年(平成19年)8月、海上保安庁は2009年(平成21年)度末までの3ヶ年で全国の霧信号所を順次廃止してゆくことを発表した。 2010年(平成22年)3月31日をもって海上保安庁所管の霧信号所はすべて廃止となったが、漁協などが代替機を設置して稼働しているものが存在する。
この「霧笛」は、中々ロマンチックなもので、その昔は、横浜港でも時折聞こえ、映画や小説などのタイトルにも使用された。横浜生まれの作家である大仏次郎の小説に明治の横浜を舞台にした「霧笛」がある。映画化されたのは昭和九年(一九三四)で、監督は村田実。港の見える丘公演にある「大仏次郎記念舘」の一階にある喫茶店の名前は「霧笛」で、その奥にある近代文学館に行く途中の橋は「霧笛橋」。また元町にはレストラン「霧笛楼」がある。
友人で、ノンフィクション作家の山平重樹さんのカラオケの十八番は、日活映画の主題歌で主演した赤木圭一郎の歌った「霧笛が俺を呼んでいる」である。芦川いずみとの港でのラストシーンが圧巻である。久し振りに、ツタヤ・ディスカスで、その映画を借りてみた。