四月二十一日(水)晴れ。
久し振りに朝からカラッと晴れている。こんな日は、何となく気分が良い。午前中に、仕事の段取りをしたのちに、正午から東京行き。今日は、一時半から都内某所で、大行社の幹部会議がある。「大吼」の編集者としての立場から、毎回出席をしている。また、相談役としてでも挨拶をするのだが、いつも四宮正貴先生の後なので、往生してしまう。四宮先生の学識や見識、そして名調子の後では、どんな啓蒙の天才をしてもかすんでしまうに違いあるまい。まして私なんて・・・。いつもトホホと言う感じである。
三時に終了。大行社の本部に顔を出してから帰宅。自宅に戻ってからは、「大吼」用の原稿を入力してから、雑用を済ませば、もう七時近い。この時間になるとソワソワして仕事どころではない。
蒸し餃子、白滝の梅合え、冷奴に、読者の田久保さんと、札幌の石澤君が送ってくれた「行者ニンニク」で一杯やった。大行社の北海道総本部の谷口さんから聞いたのだが、「行者ニンニク」で、葉っぱの短いものは、天ぷらに良く、長いものは、おしたしや醤油漬けに適しているとのこと。田久保さんから頂いたものは、前者で、石沢君の方は後者のものである。
関東の人は、「行者ニンニク」、「アイヌネギ」とも言うが、このネギの赤ちゃんみたいなものに、あまり縁がない。いや殆どの人が、その名前も食べ方も知らないだろう。
かく言う私も、かつての北海道出張を経験しなかったならば、その存在を知らなかった。独特の臭みと辛味があって、一度食べたら癖になる味である。何やら、修行に疲れた行者が、体力回復の為に食べたのが、その名前の由来とか。
さっと湯がいて醤油漬けにしたり、おしたしにして食べるのが一般的だそうだが、私は、茹でないで醤油漬けのほかに、めんつゆやキムチの素などに漬けて食べる。
細かく刻んで冷奴の薬味にしても美味い。この時期にしか食べられない北海道の珍味である。
しかし、大変なのは、一本一本周りの赤い部分、つまり薄皮を取り除かなければならないことだ。これを怠るとエグくなる。
まあ、この作業も食べる前の楽しみのうちと、我慢しなければならない。晩酌の酒は、珍しく「蕎麦焼酎・雲海」の黒麹にしたが、これが中々いける。古本屋の百円コーナーで買った、沢木耕太郎の「人の砂漠」(新潮社)を読みながら、グダグダ飲んだ。