4月4日(日)花曇りの日。
コロナにビビり昨年に続き、今年も親しい人たちと花見の宴も出来なかった。街を歩けば、すでに葉桜となった木の下を何事もなかったかのように人が通り過ぎて行く。野村先生の句に、葉桜の風の言葉は独り聴く。がある。「一人」としないで「独り」とするところに獄中の悲しさを感じてならない。もう一句、葉桜の鬱蒼たりし大悲の獄。
朝食は、マグロの漬け丼、掛け蕎麦。昼は、志村馨君の差し入れのミスドのドーナツを家族で頂く。夜は、マカロニのトマトソース煮、鶏手羽先の蒸し物、能登屋の「玉ねぎ天」と「もやし揚げ」。お供は「魔王」。酔狂亭にて独酌。
かつて早稲田の弁論部に永井柳太郎、中野正剛とともに弁論部三羽ガラスと言われ、大正九年の総選挙で当選し政治家となった田淵豊吉という人がいた。奇人政治家としても有名で、大東亜戦争中に東条英機首相を批判した反骨の精神の持ち主でもあった。中学時代、英語が良くできた。その勉強法というのは、トイレにウェブスター辞書を吊るし、便所に入るたびに、単語をいくつか暗記すると、暗記した部分の辞書を破ってトイレットペーパーとして使い、一年足らずで辞書一冊を暗記したという。この人のエピソードは枚挙にいとまない。私など平凡すぎて、後世に残るようなものもない。ゆえにこの歳になるまで世に出ることもなかった。嗚呼!