里見香奈女流王座の休場により,挑戦者決定戦に進出した加藤桃子女王と西山朋佳奨励会二段で五番勝負を戦い,勝者が新しい女流王座に就位することになった第4期女流王座戦五番勝負の第一局は,29日に郡山で指されました。女流公式戦では初手合い。
郡山市長の振駒で西山二段の先手。加藤女王の2手目が☖8四歩だったこともあり,中飛車。後手から角を交換し,先手は向飛車に転換。先手からは手を出していきにくい展開になりました。
先手が6六の銀を引き,玉を固めようとしたところ。誘われている感もありますが,チャンスでもありますから☖5五歩と仕掛けました。☗同歩☖同銀のとき,先手は☗3七角と打ちました。
3六に歩が突いてあるのは違和感もありますが,この手を狙いとしたものでしょう。ただ,角を手放しますから,先手としては何らかの代償が得られる展開にならないとまずいものと思われます。
後手は☖5二飛と飛車を回って受けました。☗5六歩と打ち,☖6四銀と引かせて☗6六歩と突いていくのは先手の反撃筋ですが,☖3三桂と跳ねて角銀両取りを狙われたときに,☗4六歩と受けることになりました。
これでは角を打ってしまっただけ先手が損をしたといわざるを得ません。第2図の☗4六歩では両取り覚悟で☗6五歩と突くか,それが嫌なら千日手になることも覚悟で第1図で☗5七銀ではなく☗3七桂と跳ねるべきではなかったのではないでしょうか。
この後,後手は馬を作りましたので,大駒の働きの差ではっきりとしたリードを奪いました。寄せ方に危ういところがあったものの,逆転の局面はなく,後手が勝っています。
加藤女王が先勝。第二局は来月13日です。
結果からいえばサトノギャラントは5着でした。ただ,とても不思議なレースをしたのです。
このときの新潟競馬場の芝コースは悪化していました。このため,とくに外回りのレースは,各馬が馬場の外目に進路を取り,スタンドに近い位置で叩き合うケースがほとんどでした。そしてこのレースもそうなったのです。ところがサトノギャラントだけは,ほかの馬とは関係なしに最内に進路を取り,他馬と離れた位置からゴールを目指したのです。
馬は自分でコースを選択するわけではありません。騎手に導かれます。サトノギャラントは北村宏司騎手が主戦で,このときも騎乗していました。数多く勝っている騎手ですし,サトノギャラントのことを最もよく知っている騎手です。ですからこのように馬を導いたのは,僕には分かりませんが何かはっきりとした理由があったものと思います。そしてこのコース取りに,僕は非常に強い印象を受けました。
だれもが不利と思っているコースに進路を選択するのは,とても大きな決断だったと思うのです。しかし自分がそれがベストであると確信するなら,他者がどのようにそれを受け止めようと,その道を選択しなければならない。このレースは,僕にそのようなことを教えてくれるレースになったのです。ついでにいうなら,結果的に5着だったというのも,当時の僕にとってはまことに都合がよいものでした。というのもこうした選択が見事に当たって,勝つようなことがあったら,自分の置かれていた状況とのあまりの差異に,僕は思いを重ね合わせることができなかったでしょう。しかし惨敗していれば,自分の道を選んでもうまくはいかないというように思わされてしまったかもしれません。ぎりぎりで掲示板を確保するという5着という結果が,僕にとって最適であったと今は思えます。
エーピーギン。ブリンクマンシップ。ポンポーワ。ヤマニンリコール。思いつくままに書き連ねましたが,いずれも僕の人生の中で,何らかの決断に関与したり,力を与えてくれたりした馬たちです。たぶんレッツゴーキリシマもそうだったのです。そしてサトノギャラントもそうした馬たちの仲間に加えられました。
郡山市長の振駒で西山二段の先手。加藤女王の2手目が☖8四歩だったこともあり,中飛車。後手から角を交換し,先手は向飛車に転換。先手からは手を出していきにくい展開になりました。
先手が6六の銀を引き,玉を固めようとしたところ。誘われている感もありますが,チャンスでもありますから☖5五歩と仕掛けました。☗同歩☖同銀のとき,先手は☗3七角と打ちました。
3六に歩が突いてあるのは違和感もありますが,この手を狙いとしたものでしょう。ただ,角を手放しますから,先手としては何らかの代償が得られる展開にならないとまずいものと思われます。
後手は☖5二飛と飛車を回って受けました。☗5六歩と打ち,☖6四銀と引かせて☗6六歩と突いていくのは先手の反撃筋ですが,☖3三桂と跳ねて角銀両取りを狙われたときに,☗4六歩と受けることになりました。
これでは角を打ってしまっただけ先手が損をしたといわざるを得ません。第2図の☗4六歩では両取り覚悟で☗6五歩と突くか,それが嫌なら千日手になることも覚悟で第1図で☗5七銀ではなく☗3七桂と跳ねるべきではなかったのではないでしょうか。
この後,後手は馬を作りましたので,大駒の働きの差ではっきりとしたリードを奪いました。寄せ方に危ういところがあったものの,逆転の局面はなく,後手が勝っています。
加藤女王が先勝。第二局は来月13日です。
結果からいえばサトノギャラントは5着でした。ただ,とても不思議なレースをしたのです。
このときの新潟競馬場の芝コースは悪化していました。このため,とくに外回りのレースは,各馬が馬場の外目に進路を取り,スタンドに近い位置で叩き合うケースがほとんどでした。そしてこのレースもそうなったのです。ところがサトノギャラントだけは,ほかの馬とは関係なしに最内に進路を取り,他馬と離れた位置からゴールを目指したのです。
馬は自分でコースを選択するわけではありません。騎手に導かれます。サトノギャラントは北村宏司騎手が主戦で,このときも騎乗していました。数多く勝っている騎手ですし,サトノギャラントのことを最もよく知っている騎手です。ですからこのように馬を導いたのは,僕には分かりませんが何かはっきりとした理由があったものと思います。そしてこのコース取りに,僕は非常に強い印象を受けました。
だれもが不利と思っているコースに進路を選択するのは,とても大きな決断だったと思うのです。しかし自分がそれがベストであると確信するなら,他者がどのようにそれを受け止めようと,その道を選択しなければならない。このレースは,僕にそのようなことを教えてくれるレースになったのです。ついでにいうなら,結果的に5着だったというのも,当時の僕にとってはまことに都合がよいものでした。というのもこうした選択が見事に当たって,勝つようなことがあったら,自分の置かれていた状況とのあまりの差異に,僕は思いを重ね合わせることができなかったでしょう。しかし惨敗していれば,自分の道を選んでもうまくはいかないというように思わされてしまったかもしれません。ぎりぎりで掲示板を確保するという5着という結果が,僕にとって最適であったと今は思えます。
エーピーギン。ブリンクマンシップ。ポンポーワ。ヤマニンリコール。思いつくままに書き連ねましたが,いずれも僕の人生の中で,何らかの決断に関与したり,力を与えてくれたりした馬たちです。たぶんレッツゴーキリシマもそうだったのです。そしてサトノギャラントもそうした馬たちの仲間に加えられました。