スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

大仁田厚&硝石の本性

2016-07-16 19:10:46 | NOAH
 『全日本プロレス超人伝説』の第6章は大仁田厚です。これは僕には意外でした。僕は1985年の正月に全日本を引退し,1989年にFMWを設立してエースとなって以降のプロレスラーとしての大仁田は評価していますが,全日本時代の大仁田はあまり評価していないからです。正直にいえば僕にとって全日本の大仁田は,1982年11月に,試合後にチャボ・ゲレロにトロフィーで襲われて腕に大怪我を負わされた選手以上でも以下でもないのです。
                                     
 その後,1983年の4月に大仁田は左足の膝を粉砕骨折するという大怪我に見舞われました。この負傷も実は僕が大仁田をあまり評価しない理由のひとつになっています。というのはこの負傷というのは,試合中のアクシデントによるものではありませんでした。この日はチャボの弟のヘクター・ゲレロと対戦。タイトルマッチで防衛に成功したのですが,その試合後,エプロンからリングサイドに飛び降りたときの負傷だったのです。もちろん膝の状態の悪化はおそらくそれまでの試合によるもので,この瞬間に強い負荷がかかったための負傷ではあったでしょう。ですがどう考えてもこれは避けられる筈だったアクシデントで,こういう仕方で負傷してしまうというのはプロとしてどうなのかと思ってしまうのです。
 この後,手術などで1年以上の休養を経て復帰しました。このときは王者がマイティ・井上。井上に挑戦という形になり,1度は両者リングアウト。2度目の挑戦で敗れ,これが自身に引退を決意させたようです。このとききちんと相手の膝を容赦なく攻撃した井上の方が,大仁田よりも僕には評価できるのです。
 大仁田本来の能力が開花したのはやはりFMW設立後でしょう。FMWの試合は僕も何度か生観戦しています。身体は小さい選手でしたが,自分を大きくみせる術というのをよく心得ていたというのが最も強い印象です。

 一般に物体の現実的本性actualis essentiaが,その物体に与えられている運動と静止の割合によって決定されるなら,たとえば硝石といわれる物体に関しては,硝石に固有の運動と静止の割合があるのでなければなりません。
 このとき,硝石の本性すなわち運動と静止の割合が,理性ratioによって推論される限り,それは永遠の真理です。これは第二部定理四四系二から明白だといわなければなりません。そしてそれが永遠の真理として概念されるのは,硝石という個物の存在の形相的本性が,神の延長の属性の中に含まれたものとして認識されるからです。これについては第二部定理八を参照してください。しかし理性による認識とは異なり,個物が現実的に存在する場合,他面からいえば個物の現実的本性が概念される場合には,それは永遠の真理ではありません。むしろある一定の持続のうちで真理であることになります。こちらについては第二部定理八系を参照してください。
 第三部定理六とか第三部定理七というのは,現実的に存在するすべての個物に妥当します。したがって硝石が現実的に存在するという場合にも妥当します。よってこれらの定理から,現実的に存在するある硝石の現実的本性が,その硝石自体を原因として排除されるとか消滅するといったことは生じ得ません。いい換えれば,知性が現実的に存在するある硝石を十全に認識するということがあったとしても,それだけでその硝石の現実的本性が破壊されるというようには認識し得ないことになります。
 ところが,現実的に存在する硝石,いい換えれば一定の持続のうちに存在する硝石の現実的本性は,破壊され得ないものではありません。これは第四部公理から明白だといえます。ところで硝石の現実的本性は,ある定まった運動と静止の割合なのですから,硝石が破壊されるとは,その運動と静止の割合にある変化が生じるということです。こちらは岩波文庫版の114ページからの第二部自然学②補助定理四,五,六,七から導けると僕は考えます。これらは運動と静止の割合が同一なら同一の物体であるという意味なので,逆に運動と静止の割合が変化したら別の物体になるということだと解せるからです。
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