スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

サマーナイトフェスティバル&スピノザの前提

2016-07-19 19:07:58 | 競輪
 川崎競輪場で被災地支援競輪として実施された昨晩の第12回サマーナイトフェスティバルの決勝。並びは平原‐武田‐諸橋の関東,深谷‐金子の師弟,吉田‐浅井の中部で村上と園田は単騎。
 浅井がスタートを取って吉田の前受け。3番手に平原,6番手に村上,7番手に深谷,最後尾に園田という周回に。残り3周のバックから深谷が上がっていこうとすると先に村上が動き,これを平原が追って,ホームで吉田を叩いた平原が前に。さらに深谷が叩き,園田も続いて前に。引いた吉田が上昇していき,最後尾になった村上はこちらに切り替え,バックで吉田が深谷を叩き,村上まで出て打鐘。吉田はそのままスピードを緩めなかったので早めのかまし先行に。3番手に村上,4番手に深谷,6番手が園田で7番手に平原という一列棒状でホームを通過。バックに入ると浅井が外へ自転車を振りつつ後ろを警戒。直後の村上は何とかバックの中ほどで発進するもその後ろの深谷はまったくタイミングがつかめず。村上は浅井に半車身くらいまでは迫れましたが,浅井の再三の牽制で前には出られず,コーナーから踏んでいった浅井を追う形に。平原は浮いた深谷の影響を受けたため,バックから内を回った武田が村上を追い,直線は村上の外から粘る浅井に迫ってフィニッシュ。しかしこの猛追は届かず,優勝は浅井。8分の1車輪差の2着が武田で半車身差の3着に村上。
 優勝した三重の浅井康太選手は前回出走の福井記念からの連続優勝。ビッグは昨年の競輪グランプリ以来の4勝目。サマーナイトフェスティバルは初優勝。吉田は愛知ですが深谷ラインとは連係せず,中部が別ラインの勝負。しかしやり合うことは考えにくく,場合によっては協力するようなレース展開もあり得るとみていました。村上がうまく浅井を追ったので4人で並ぶことにはなりませんでしたが,ラインの厚い関東を後方に置くことには成功。たとえば園田も村上を追い掛けていて,浅井の内を突くようなレースになっていたら厳しかったかもしれませんが,自身のインに割り込まれるようなレースにはならず,早めに駆けた吉田を最大限に利し,村上の捲りを封じることにも成功しての優勝。なかなか大変なレースであったとは思います。2着に突っ込んだ武田は伸び脚が目立ち,調子を取り戻しつつあるかもしれません。

 スピノザは硝石の本性を単に永遠の真理として認識していたというより,永遠であるからそれは不変であるということを主軸にロバート・ボイルRobert Boyleと議論していたように僕には思えます。つまりボイルは現実的に存在する硝石の実証実験を行った上で,硝石は分解され得るし生成もされ得ると主張したのに対して,スピノザは硝石の形相的本性が永遠であるということを論拠として,硝石の本性は不可分的なものでなければならないと主張していると僕は解するのです。これはボイルからすれば硝石は分解されもしないし生成されることもないとスピノザが主張しているという意味になりますから,そういう見解を受け入れられなかったのは当然のことと思えます。
                                     
 したがってこのときのスピノザは,硝石という個物の存在を,神の延長の属性に含まれているいるものとして前提していたというよりも,端的に分割不可能なものと前提していたと解する方が正確かもしれません。要するに第一部定理一三系物体的実体は分割不能であるとスピノザがいうとき,そのような物体的実体としてスピノザは硝石の本性を前提していたように思われるのです。
 どのような仕方でこれを説明するにしても,この論争におけるスピノザの前提が,『エチカ』の自然学において物体,とくに現実的に存在する物体について言及する場合とは相容れないということは間違いないように思います。むしろそれに則していたのはボイルの方であったというべきでしょう。したがってボイルが実証という方法で示した事柄を,議論していた当時のスピノザは受け入れていなかったとしても,後にはその見解を受け入れるようになったという工藤の見解は正しいものと思います。つまりその意味において,スピノザは実証主義的見解を是認するに至ったということは,極度の誤謬ではないと思います。ただし思考の方法論としては,スピノザは実証的なものより合理的なものが確実な認識の基礎になるという見解は変えていないと僕は考えますので,このような意味においてスピノザが合理主義者から実証主義者になったというのは誤りだと思います。
 ボイルとの論争に関しての考察はこれで終了です。
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