スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

高松宮記念&超越論的意志

2017-03-27 19:05:33 | 中央競馬
 昨日の第47回高松宮記念
 好発はシュウジでしたが内のラインスピリット,外のトウショウピストと3頭が並んで逃げるような競馬になりました。この後ろが少し離れ,好位に位置したのがセイウンコウセイとワンスインナムーン。中団の前列がソルヴェイグとナックビーナスで中列がレッドファルクスとクリスマス。この後ろをトーキングドラムが単独で追走し中団後列にティーハーフとスノードラゴン。後方グループの前からレッツゴードンキとメラグラーナとなりました。前半の600mは33秒8でハイペースの部類。
 前をいく3頭が内を開けて走行したので直線は馬群が横に大きく並ぶ形に。ずっとインを回り最内から脚を伸ばしたのがレッツゴードンキでその外にレッドファルクス。距離のロスが少なかったこの2頭が一旦は先頭と2番手に出たように思いますが,先行勢の後ろから外を回ったセイウンコウセイが末脚を炸裂させ,あっという間に突き抜けて優勝。1馬身4分の1差の2着にレッツゴードンキ。クビ差の3着にレッドファルクス。
 優勝したセイウンコウセイはこれが重賞初勝利。とはいえ今年に入って初挑戦のオープンを勝ち続く重賞も2着になっていて,このメンバーなら勝ってもおかしくない力がある馬とは思っていました。2着争いをした2頭は確かな力量があり,馬場の適性の差もあったのでしょうがそれらにスプリント戦では決定的といえる差をつけましたから,評価に値する内容だったと思います。スプリント路線は一時期よりレベルが低下していると思われますが,この馬がトップに立ったといってもいいだけの内容でした。父は2007年のJRA賞年度代表馬のアドマイヤムーン。祖母はパテントリークリア。母の半兄に1996年のNHKマイルカップを勝ったタイキフォーチュンなど。
 騎乗した幸英明騎手は昨年の川崎記念以来の大レース制覇。第38回以来9年ぶりの高松宮記念2勝目。管理している上原博之調教師は2007年のマイルチャンピオンシップ以来の大レース制覇で高松宮記念は初勝利。

 意志voluntasが神Deusの絶対的本性に属さないと主張すること自体が,従来の哲学的伝統に反する考え方であったと僕は思います。しかしこのことは,無限知性intellectus infinitus,infinitus intellectusを思惟の属性Cogitationis attributumの直接無限様態だと主張したこと,すなわち知性もまた神の絶対的本性に属さないと主張したことについても同様であると僕は思っています。そしてここでは,主に人間の精神mens humanaによる事物の認識cognitio,能動的であれ受動的であれ,人間の精神が事物を認識することと,人間が意志を行使するということの間には直接的な因果関係は存在しないということを重点的に考察しますので,スピノザが神の絶対的本性に意志,神の意志が属さないと主張したことについては探求せず,人間の精神による事物の認識に関して,意志が観念ideaを超越するということはない,いい換えれば意志が観念よりも広くわたることはないと主張した点に焦点を絞ります。
                                     
 スピノザの考え方では,意志は単に思惟の様態cogitandi modiであり,第二部公理三から,思惟の様態のうち第一のものが観念なのですから,意志が観念を超越するということはあり得ません。むしろ観念が存在しなければ意志も存在し得ないということが帰結しなければならないからです。僕が従来の哲学的伝統の見解を,自由意志voluntas liberaを肯定したとはいわず,超越的意志を肯定したと記述したのはこうした理由からです。少なくとも人間の精神を構成する観念を思惟の様態と認めた上で,観念が思惟の様態のうち第一のものであると規定するなら,スピノザのように意志が原因となって観念が形成されるということはあり得ないと結論するのが自然です。そうでないなら,意志が思惟の様態のうち第一のものであると主張するか,思惟の様態の第一のものである観念を形而上学的に超越する意志が人間の精神の本性に属するかでなければなりませんが,それはどちらの場合も形而上学的な超越論を導入しないと帰結させられないと僕は考えるからです。
 第二の場合が超越論的であるのはそれ自体で明らかでしょう。しかし第一の場合も,意志が存在しないと観念は与えられないので,何ら観念がない状態で意志があることができると主張しなければならず,それは超越論に属すると僕は考えるのです。
コメント
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