スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

女流王位戦&スピノザの自負

2017-03-15 19:14:47 | 将棋
 13日の第28期女流王位戦挑戦者決定戦。対戦成績は本田小百合女流三段が1勝,伊藤沙恵女流二段が1勝。
 振駒で本田三段の先手。伊藤二段のウソ矢倉に対して居角左美濃から急戦策を用いました。先手でこの形にできるのなら有力な作戦になるのではないかと思います。後手が基本的に面倒をみる指し方を選択したので,先手が攻めきれるか後手が受けきって反撃に回れるかの勝負となりました。
                                     
 後手が香車を取って角を成った局面。後手の攻め駒も迫りつつあるので先手もゆっくりとはしていられません。
 ☗3三金と打ち込んでいきました。後手は☖4四金と交わし☗5四桂にも☖5一銀と逃げました。先手が☗2三金と取ったとき☖8八歩成と反撃していくのもありましたが方針通りに☖5三歩。
 先手はこの桂馬を取られてはいけませんから☗8三銀と打ちました。ここは飛車の逃げ場所がなく,後手が窮したかに思えましたが☖6四歩☗同馬☖8三飛とする手がありました。ただし☗5三桂成と打った歩を取られて☖6一玉では銀は手にできても後手の方が損をしたように思います。
 この局面は☗6三馬とすると後手は☖8二飛と引くほかなく,先手は5四の桂馬を王手で成って3六の龍を抜く筋がありました。しかし単に☗3七歩と銀取りを受け☖2六龍と引かせてから☗6三馬。もしかしたら先手はチャンスを逸したのかもしれませんが,これで負けにしたわけではありません。
 後手は☖8二飛と引く一手。そこで☗3二金とただのところに入ったのは才能をみせた一手です。後手が☖7四銀と打ったときに構わず☗4二金と入っていればその好手が生きました。しかし☗4一馬と逃げてしまったので☖5四金と取られることに。
                                     
 第2図から☗同成桂は仕方ありませんがこれは後手玉への詰めろが続かなくなり,後手の勝ちとなっています。
 伊藤二段が挑戦者に。五番勝負を第六局まで戦った2015年度の女流王座戦以来となる2度目のタイトル戦出場。第一局は来月26日です。

 コルデスに限定せず,説教師の説教をどのような人たちが必要としているのかとスピノザに問うなら,スピノザは,理性ratioによって能動的には敬虔pietasであることができない人にとって必要なのであると答えるでしょう。この答えは『神学・政治論Tractatus Theologico-Politicus』の中に書かれているといって間違いではありません。
 スぺイクHendrik van der Spyck一家の人たちのことを,おそらく理性的に敬虔であることが困難な人たちであるとスピノザは認識していました。ですからかれらにとっては説教師の説教は有用なものであるとスピノザは考えたと推測されます。とくに,コルデスが具体的にどんな内容の説教をしたのかは書かれていないものの,聖書の教えを実生活に応用することの的確さをスピノザは称賛したのだとされています。もしそれが事実であれば,どのような仕方で聖書を生かすことによって敬虔であることができるのかをコルデスは的確に教えることができた説教師であったと解することが可能ですから,その説教を聞き逃さないようにスピノザがスぺイクおよびその家族に勧めるということは大いにありそうなことだといえます。
 しかしスピノザ自身はそうではありません。スピノザは事実として理性によって敬虔であることができた人物であったといえます。また,フェルトホイゼンLambert van Velthuysenに対する反論の中で,もしも自分の生活態度をフェルトホイゼンが目撃したならば,フェルトホイゼンは自分のことを敬虔であるとみなす,他面からいえば無神論者とはみなさないだろうと書いていることからして,スピノザ自身の精神mensのうちにもそうした自負があったと考えられます。つまりスぺイク一家の人たちとは異なり,スピノザはとくにコルデスの説教に限らずとも,説教師の説教を必要としない人だったのであり,またスピノザ自身も自分のことをそのような人間と考えていたと推定できます。そうであるなら,スピノザが自ら望んでコルデスの説教を聞きにいくようなことはきっとなかっただろうと考えられます。したがってこの逸話はスぺイクの創作である可能性が高いと僕は考えるのです。
 スぺイクはコルデスにも心酔していたと思われ,集会にスピノザを誘うようなことはあったかもしれません。
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