スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

スプリンターズステークス&第二部定理四九備考

2019-09-29 18:56:05 | 中央競馬
 第53回スプリンターズステークス
 ハッピーアワーは発馬後にすぐ控えました。先手を奪ったのはモズスーパーフレア。2番手はマルターズアポジー,イベリス,ファンタジストの3頭で5番手にセイウンコウセイ。6番手はディアンドル,ラブカンプー,ミスターメロディの3頭。9番手にダノンスマッシュ,タワーオブロンドン,ダイメイプリンセスの3頭でここまでは一団。12番手がリナーテとノーワン。14番手にアレスバローズとレッツゴードンキ。最後尾にハッピーアワー。前半の600mは32秒8のハイペース。
 直線に入るところでモズスーパーフレアはついてきた先行勢を振り切りました。2番手になったのはミスターメロディでしたが,こちらもそこまでで一杯に。外から脚を伸ばしたタワーオブロンドンが粘るモズスーパーフレアを差して優勝。モズスーパーフレアが半馬身差で2着。タワーオブロンドンの後を追う形になったダノンスマッシュがクビ差で3着。
 優勝したタワーオブロンドンは前走のセントウルステークスから連勝。重賞は5勝目で大レースは初制覇。この夏からスプリント路線に転じ,3着,2着,1着と,この距離に徐々に慣れてきていると思えるような成績を残していました。前々走で3着馬に負けていたのですが,前走は圧勝といえる内容で,能力的には差がなかったようです。今日は進路の選択などでこちらの方に利がありましたから,この2頭はレースの展開次第によって着順が入れ替わるような能力関係にあると考えておいてよいのではないかと思います。祖母のふたつ上の半兄に1997年にマイラーズカップとセントウルステークスを勝ったオースミタイクーン
                                        
 騎乗したクリストフ・ルメール騎手はかしわ記念以来の大レース制覇。スプリンターズステークスは初勝利。管理している藤沢和雄調教師は桜花賞以来の大レース制覇。第31回以来22年ぶりのスプリンターズステークス2勝目。

 スピノザの哲学では,意志作用volitioという力potentiaは,真verumなるもの真として,十全adaequatumなるものを十全として肯定する力ではないと規定することによって,意志作用の総体である意志voluntasは,観念ideaの総体である知性を超越しないという結論を導きます。いい換えれば,混乱した観念idea inadaequataも意志作用を含んでいて,意志作用という力そのものとしてあると考えるのです。
 スピノザがこのことをはっきりと明言しているのは第二部定理四九備考です。この文章は,知性というのが真の観念idea veraあるいは十全な観念idea adaequataの総体であるとするなら,意志voluntasは知性より広くわたる,すなわち意志は知性を超越するけれども,意志が知覚一般あるいは思惟する力より広くわたることすなわちそれを超越することはあり得ないというようにいっていて,それは真の観念あるいは十全な観念ではない観念すなわち誤った観念idea falsaあるいは混乱した観念にも意志作用が含まれるということを前提としないと成立しないからです。なおかつここではそれを思惟する力といっているのですから,この意志作用が力とみなされていると解さなければなりません。そして実際にはスピノザは,人間の知性という場合には,その人間の知性を構成しているすべての観念,十全な観念だけでなく混乱した観念も含めたすべての観念の総体としていうのですから,最初の部分,すなわち意志が知性よりも広くわたる,超越するということを否定していると解するべきだと僕は考えます。
 真の観念あるいは十全な観念が含んでいる意志作用というのは,真なるものを真なるものとして,また十全なるものを十全なるものとして肯定する意志作用のことです。ですからそれがどのような意志作用であるのかということはそれ以上は問う必要がありません。では,混乱した観念が含んでいる意志作用というのはどのようなものなのでしょうか。いい換えればそれはどのように説明されるべき意志作用なのでしょうか。
 スピノザはこの備考Scholiumのもう少し後の部分で,ひとつの事例をもってこれを簡潔に説明しています。
 「翼ある馬を知覚するとは馬について翼を肯定するというのと何の異なるところがあろうか」。
 知覚されるのは観念で,肯定するのが意志作用です。
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