スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

NOAHの旗揚げ&第二部定理四四系二証明

2012-03-11 18:27:05 | NOAH
 名と実のうちの実の方を選択したというのが,三沢光晴の全日本の退団,そして新団体の設立の理由であったというのが僕の理解です。しかしそのときに三沢が,自らが設立する新しい団体が,NOAHのように大規模なものとなると想定していたかといえば,どうもそうではなったようです。仲田龍は『NOAHを創った男』の中で,自分が三沢と行動を共にすることは決めていたけれども,実際に設立する団体はもっと小規模になるだろうと思っていたといっています。
                         
 一方,三沢自身は自伝である『船出』において,自分が全日本の役員を辞任して退団したのは個人的な問題であったといっています。しかし多くの選手やスタッフもそれぞれの意志で集結したので,新しい団体を旗揚げすることにしたといっています。
                         
 ふたりの言い分には齟齬があるようですが,実際にはそれほどの相違があるわけではないと思います。というのも,三沢は自分が全日本を退団するとしても,プロレスラーをやめようと思っていたわけではないと思うのです。ですから場合によっては,新しい団体を旗揚げしなければならないということも,まったく頭の中になかったということはあり得ないでしょう。しかし,団体を設立するのであれば,ある程度の数のレスラーやスタッフも必要で,その条件が満たせるかどうかは本当に分かっていなかったのではないかと思います。実際,仲田がいっているように,少なくとも実際にそうなったように多くの人間が自分と行動を共にすることは考えられなかったのでしょうし,この点については,和田京平も『読む全日本プロレス』の中で,三沢も仲田もそれは考えていなかっただろうと指摘しています。
                         
 こうした事情から,三沢が,場合によってはフリーのレスラーとしてプロレスを続けていくということも想定したとしても,それは不思議なことではありません。しかしいざ三沢が全日本を退団すると,所属していたレスラーのほとんど大部分と,社員として全日本プロレスで働いていた人たちがついてきました。実は僕はこの点で,三沢というレスラーを高く評価しているのです。
                         

 第二部定理四四系二というのは,それだけでみるといささか茫洋としていて,そこでスピノザが示そうとしている事柄を十全に把握することが困難であるという印象を僕自身は抱いています。しかしここに立ちこめた靄は,続くスピノザによる証明Demonstratioによって,すっきりと晴れ渡ることになります。
 この系Corollariumの証明のために最も重要なこと,それは精神mensが理性ratioによって何事かを認識するという場合には,それはその何事かを十全に認識しているのだということです。これは『エチカ』における理性の定義Definitioから必然的に帰結しなければならないことですから,それ以上は説明のしようがありません。いい換えれば第二部定義四第一部公理六により,理性による事物の認識cognitioというのは,その事物,すなわち観念の対象ideatumについて,その事物自体がある通りに認識するようなあり方なのです。
 しかるに,第二部定理四四は,どんな事物であったとしても,それを必然的なものとして認識することが理性の本性naturaに属するということになっています。ところがどんな事物の必然性necessitasも,第一部定理一六からして,神の本性の必然性そのものでなければなりません。そしてその神の本性の必然性というのは,永遠aeterunusから永遠にわたっての真理veritasです。いい換えれば,神の存在は第一部定理一一の第三の証明から明らかなように,ただ単に神の定義から,つまりは神の本性から帰結します。よって第一部定義八によって神は永遠であるということになるでしょうが,神が永遠であるということは,第二部定義二によって,神の本性も永遠であるということを同時に意味しています。したがって神の本性の必然性というのも,永遠なものとして理解されなければなりません。ゆえにどんな事物であったとしても,それを必然的なものとして認識するということは,要するにそれを永遠なものとして認識するということと同一でなければならないということになるのです。
 これで,事物を永遠という観点から認識するということが,理性の本性に属さなければならないということは証明されていると僕は考えます。しかしスピノザの証明はもう少しだけ続いていて,ここが現在の考察との関連では重要ですから,そちらも見ておくことにします。

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