スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

戸口の雑感⑱&積極的論証

2024-05-25 20:22:46 | NOAH
 戸口の雑感⑰でいったように,戸口が新日本に移籍した直接の契機は,新間寿に会ったことでした。全日本を退社することになった戸口は,ジャンボ・鶴田にそのことを伝えました。鶴田はそれなら自分も辞めるといって,辞表を用意して戸口に見せたそうです。これについては,鶴田は役員だったから辞表が必要だったと戸口は言っていますので,戸口は辞表のようなものは出さずに全日本を辞めたということでしょう。戸口と全日本の間には,少なくともすぐに戸口が新日本プロレスに出場するには契約上の問題があったようですが,それは新間が解決したといっています。おそらく違約金が新日本プロレスから全日本プロレスに支払われたのでしょう。
 新間は,この頃に鶴田とも極秘裏にあったと明かしています。新日本プロレスはできるなら戸口よりも鶴田を引き抜きたかったのではないかと思います。鶴田を引き抜いた方が,全日本プロレスの打撃は大きかったであろうからです。どういう経緯があったか定かではありませんが,鶴田は結局は全日本プロレスに残り,仕事を続けました。
 でいったように,この時期は日本テレビが全日本プロレスに社長を送り込み,鶴田がリング上のエースになり,ブッカーも務めることを目指していました。ですから日本テレビから鶴田に対し,全日本プロレスに残るように慰留があったことは考えられます。天龍の雑感⑩で,天龍は鶴田と共に全日本プロレスの社長から小切手をもらったといっていますが,時期はともかく話としては辻褄が合います。
 鶴田はブッカーの仕事はやったことがありませんでしたから,日本テレビの要望には思い悩みました。それで佐藤昭雄を頼ったのです。佐藤昭雄が全日本プロレスのブッカーを務めることになったのは,これが契機となっているようです。ですから,このことに思い悩んで鶴田が全日本プロレスを辞めようと思ったというわけではありません。佐藤がブッカーを務めるようになったのは,戸口が辞めた後のことだったからです。ですから戸口がいうように,鶴田が本当に辞表を書いていたのなら,それとは別の何らかの理由があったということになるでしょう。
 戸口の雑感はこれで終了です。

 僕の考えでは,第三部定理四だけで第三部定理六を論証するのは不十分です。あるものを滅ぼすものはあるものの本性essentiaには含まれないということでそのあるものが自己の有esseに固執するperseverareことを論証するのであれば,ある積極的な事柄を論証するために,消極的な材料を用いていると考えられるからです。すなわち,もし現実的に存在するある個物res singularisが自己の有に固執することを論証するのであれば,そのものが自己の有に固執することを積極的に論証するべきであって,そのためには,そのものを滅ぼすものがそのもののうちには含まれないというだけでは十分ではないと僕は考えるのです。たぶんスピノザもそのことには気が付いていて,だから第三部定理四と共に第三部定理五に訴求したのだと思われるのですが,第三部定理五から,現実的に存在する個物が自己の存在existentiaを除去しようとするものに対抗するということが出てくるのかということは疑問です。ただしそれが帰結させられるのであれば,第三部定理六の論証Demonstratioは成功しているといえるでしょう。少なくとも,自己の存在を除去するものが現実的に存在する個物のうちに含まれてなく,かつ自己の存在を除去しようとするものには対抗するのであれば,現実的に存在する個物は自己の有に固執しているといえると僕は考えます。ただそこには疑問な点も含まれていますから,國分がいっていること,すなわちスピノザは現実的に存在する個物がコナトゥスconatusを有するのはなぜかということを十分に説明しないと指摘している点には,一理あると僕は思うのです。
                                   
 それでは続いて第三部定理七の証明Demonstratioを改めて確認しておきましょう。
 最初にスピノザがいっているのは,現実的に存在する個物はその本性を原因causaとしていくつかの結果effectusを生じさせるということです。これは第一部定理三六に訴求することができます。
 そして,そうしたことはすべてDeusの本性によって決定されているのであって,他面からいえば,神の本性から決定されていないような結果を本性を原因として生じさせることはできません。これは第一部定理二九に訴求することができます。
 スピノザがいっているのはほぼこれだけですが,これは成功しています。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 女流王位戦&第三部定理六証明 | トップ | 東京優駿&慣性の法則 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

NOAH」カテゴリの最新記事