ドラッグストアで買い物をして外に出ると、
カラスが飛び去った。
地面には何か落ちている。
肉の色だ。
鶏のモモ肉、大きなのが一枚。と見た。
私の前を歩いていた男性はチラッと見て通り過ぎて帰ってしまった。
私は、事態が飲み込めたらすぐ引き返して、サービスカウンターの店員に知らせた。
店員はすぐに出て、「荷物をガードします。」と言う。
※
こういうことがよく有るのだろう、
駐輪場には、「カラス被害が多いので、荷物を自転車のカゴに置かないようお願いします。」
という貼り紙が有る。
それでもその客は置いて店に入ったのだから自己責任だろう、
と思うが、
よく見ると、自転車のカゴには紺色のカバーが掛けてある。
フックで止めてあったカバーを外して、カゴの中の買物袋に入っている肉のパックのラップを破って、
カラスは鶏モモ肉を引っ張り出したのだ。
ただ、モモ肉がかなり立派だったので、
ヒョイとくわえて飛び去る、というわけにもいかなかったようなのだ。
※
現場に戻ってみると、また別の男性がモモ肉の横に立っている。
ちょいと親切な人がいたもんだ、と思う。
「あのカラスは目が速いよ。」
なんて言う。
マスクをしているが、目元で分かった。
私の以前の職場の上司である。なあんだ。
「Sさん、こんにちは、須山です。」と、マスクをずらして挨拶した。
マスクを外すのがマナーなのかどうかアヤシイところだが、
先方は私の顔を見てすぐに思い出してくれた。
まあ、ご近所らしく、買い物の時に駐車場でたまに会うのだ。
※
この人は、動物好きだった。
車のトランクに餌を入れていて、
毎朝、出勤すると鳩に餌をやっていた。
私が職場に車で寄る時に、犬を連れて行って、
犬を車に繋いでおいたりしたが、
それに誰もとやかく言う人はいなかった。
今思えば、職場のトップが動物好きだったおかげというところが大きいだろう。
鳩に餌をやるなんていうことは、
周囲の人みんなに喜ばれるわけではない。
糞を嫌がる人もいるし、ハトはダニが多いと言う人もいる。
動物好きということは、誰しもにすんなり受け入れられることではない。
※
私は鳩をかわいいとはあまり思わない。
小鳥はかわいいと思うし、鳩の大きさの猛禽も興味が有るし、
カラスに至っては友達になれそうな気がしている。
なのに鳩には親しみが持てない。
しかし、私も物好きで偏屈であるから、
この上司が職場で毎朝、鳩に餌をやるという習慣を、
なんというか、好ましく感じた。
※
仕事上でどんな人だったか、まるで記憶に無い。
相手はオッサンでこちらは三十代女性♪だったので、
干渉するでもされるでもなかった。
職場の他のオッサン方にとってどんな上司だったのだろう。
※
カラスが肉を取りたくて戻って来るのを、
Sさんはポケットに手を突っ込んでただ立って見ている、
というふうに私には見受けられた。
人によってはカラスを追い払うかもしれないし、
中には悪態をつく人もいるだろう。
肉のそばに立つことで、ちょっとカラスには牽制がかけられるし、
それで人間界の義理も通る、というくらいの立ち方。
「あのカラスは目が速いよ。」
というのも、カラスを高く評価する言葉に聞こえた。
どれくらい目が速かったのか興味が有ったので聞こうと思ったのだが、
それがSさんと気付く私の目のほうが速く、
挨拶してしまったら世間話になってしまい、
カラスの話題は飛んで行ってしまった。
カラスが飛び去った。
地面には何か落ちている。
肉の色だ。
鶏のモモ肉、大きなのが一枚。と見た。
私の前を歩いていた男性はチラッと見て通り過ぎて帰ってしまった。
私は、事態が飲み込めたらすぐ引き返して、サービスカウンターの店員に知らせた。
店員はすぐに出て、「荷物をガードします。」と言う。
※
こういうことがよく有るのだろう、
駐輪場には、「カラス被害が多いので、荷物を自転車のカゴに置かないようお願いします。」
という貼り紙が有る。
それでもその客は置いて店に入ったのだから自己責任だろう、
と思うが、
よく見ると、自転車のカゴには紺色のカバーが掛けてある。
フックで止めてあったカバーを外して、カゴの中の買物袋に入っている肉のパックのラップを破って、
カラスは鶏モモ肉を引っ張り出したのだ。
ただ、モモ肉がかなり立派だったので、
ヒョイとくわえて飛び去る、というわけにもいかなかったようなのだ。
※
現場に戻ってみると、また別の男性がモモ肉の横に立っている。
ちょいと親切な人がいたもんだ、と思う。
「あのカラスは目が速いよ。」
なんて言う。
マスクをしているが、目元で分かった。
私の以前の職場の上司である。なあんだ。
「Sさん、こんにちは、須山です。」と、マスクをずらして挨拶した。
マスクを外すのがマナーなのかどうかアヤシイところだが、
先方は私の顔を見てすぐに思い出してくれた。
まあ、ご近所らしく、買い物の時に駐車場でたまに会うのだ。
※
この人は、動物好きだった。
車のトランクに餌を入れていて、
毎朝、出勤すると鳩に餌をやっていた。
私が職場に車で寄る時に、犬を連れて行って、
犬を車に繋いでおいたりしたが、
それに誰もとやかく言う人はいなかった。
今思えば、職場のトップが動物好きだったおかげというところが大きいだろう。
鳩に餌をやるなんていうことは、
周囲の人みんなに喜ばれるわけではない。
糞を嫌がる人もいるし、ハトはダニが多いと言う人もいる。
動物好きということは、誰しもにすんなり受け入れられることではない。
※
私は鳩をかわいいとはあまり思わない。
小鳥はかわいいと思うし、鳩の大きさの猛禽も興味が有るし、
カラスに至っては友達になれそうな気がしている。
なのに鳩には親しみが持てない。
しかし、私も物好きで偏屈であるから、
この上司が職場で毎朝、鳩に餌をやるという習慣を、
なんというか、好ましく感じた。
※
仕事上でどんな人だったか、まるで記憶に無い。
相手はオッサンでこちらは三十代女性♪だったので、
干渉するでもされるでもなかった。
職場の他のオッサン方にとってどんな上司だったのだろう。
※
カラスが肉を取りたくて戻って来るのを、
Sさんはポケットに手を突っ込んでただ立って見ている、
というふうに私には見受けられた。
人によってはカラスを追い払うかもしれないし、
中には悪態をつく人もいるだろう。
肉のそばに立つことで、ちょっとカラスには牽制がかけられるし、
それで人間界の義理も通る、というくらいの立ち方。
「あのカラスは目が速いよ。」
というのも、カラスを高く評価する言葉に聞こえた。
どれくらい目が速かったのか興味が有ったので聞こうと思ったのだが、
それがSさんと気付く私の目のほうが速く、
挨拶してしまったら世間話になってしまい、
カラスの話題は飛んで行ってしまった。
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