4月頃だったか、もう少し前だったか。
近所の電柱の下に、花壇の柵の部分がいくつも落ちている。
そこは広い畑のわきなので、花壇など無い。
ましてや、プラスチック製の白いオシャレげな模様の柵なんか
そこには無いはずの物だ。
妙だな。と思っていたが、
ある日、カラスが飛んで来て電線にとまろうとしたところ、
何かをカシャーンと落としてしまうのを目撃した。
ああ、なんだ、巣作りか。
と分かったら、針金ハンガーなども落ちているようになった。
※
その後、部材も充分に収集できてか、しっかりと大きな巣が完成した。
どうやら2羽のカラスが出入りしているようだ。
調べてみると、カラスはオスメス両親で子育てするようだ。
そのうち、仔カラスの姿が見えるようになってきた。
なんせ電柱の上なので、下から見上げるしかない人間には、
小さな雛のうちは見えない。
仔カラスの姿が見えるようになった頃には、もうずいぶん成長していた。
2羽いるようだ。
※
そろそろ巣立ちかな。
飛び立つところを見たいもんだな。
と思った数日後のこと。
その電柱の根元に、一羽のカラスの死骸が有った。
小柄である。仔カラスだろう。
巣立ちに失敗したのか。
落ちたのか、落ちた所を何かに襲われたか、車に当たったか、
どこかに落ちたのを誰かがここに寄せたのか。分からない。
自宅からシャベルを持って来て、掬って運んだ。
庭に埋めてやろう。
※
自宅への曲がり角に、そこの家の子が友達と二人で立っている。
小学校低学年男子と、友達はちょっと年上の男子。
生き物の死骸を見て、「キモーい!」とかなんとか騒いだらイヤだな、と思って、
こころもち、シャベルを隠すような角度に持って、通ろうとした。
すると、
「あ。カラス。死んでた。僕もさっき見た。」
この子は、細い砂利道を挟んでウチの隣に引っ越して来た時は赤ちゃんだった。
長ずるにつれ、虫に興味を持つようになってきた。
ダンゴムシから始まって、バッタだのクワガタだのを捕まえてきては虫籠でしばらく飼っている。
どこかでアメンボを獲った時は、お母さんに連れられて、
我が家の池に放していいですか、と来た。もちOK。
その後、たまに庭に遊びに来たり、何か獲れたら見せてくれたり。
先日も、私が朝、家の前の掃除をしていたら、
「昨日ナメクジ沢山取れた。」と言うので、
丁重に見学を辞退した。
その子が、仔カラスをシャベルに掬って運ぶ私にくっついて来た。
「どうするの?」
ちなみにその子は、小学2年生にしてハスキーボイスである。
庭に埋めてやろうと思ってさ、と私は答えて、自宅の敷地に入る。
「入っていいですか?」
どうぞ。
「ありがとうございます。」
足元に気を付けてね。
一緒にいたちょっと年上のお友達は、
私の庭に入った経験が無いせいか、
そこで「さよなら」と帰ってしまった。
誘えば良かった。
※
庭の奥へ進む。
「前にもこういう事したの?」
うーん、そうだな、野良猫が死んでたりしたら、埋めたこと有るな。
歴代の飼い犬を埋葬しているが、それはとりあえずナイショにした。
適当な場所を見繕って、カラスを一旦地面に置き、シャベルで穴を掘る。
「僕も穴掘るの上手なんだよ。」
へー、すごいな。
後から考えたら、この時に交代しても良かった。
仔カラスに充分な穴が掘れたら、屍骸をシャベルで掬って、
穴の底に寝かせた。
「やらせて。」
じゃ、埋めるのやってもらおう。
穴の周囲に積もった土を、上手に掬っては穴を埋める。
最後にシャベルの背で、トントンと叩いて固める。
私は、すぐ横に在った石をその上に載せた。
後から考えたら、ここでちょいと合掌しても良かったな。
※
数日後、巣は空になっていた。
もう一羽の仔は無事に飛び立つことができたのだろうか。
更に数日後、電力会社によって、巣は撤去された。
近所の電柱の下に、花壇の柵の部分がいくつも落ちている。
そこは広い畑のわきなので、花壇など無い。
ましてや、プラスチック製の白いオシャレげな模様の柵なんか
そこには無いはずの物だ。
妙だな。と思っていたが、
ある日、カラスが飛んで来て電線にとまろうとしたところ、
何かをカシャーンと落としてしまうのを目撃した。
ああ、なんだ、巣作りか。
と分かったら、針金ハンガーなども落ちているようになった。
※
その後、部材も充分に収集できてか、しっかりと大きな巣が完成した。
どうやら2羽のカラスが出入りしているようだ。
調べてみると、カラスはオスメス両親で子育てするようだ。
そのうち、仔カラスの姿が見えるようになってきた。
なんせ電柱の上なので、下から見上げるしかない人間には、
小さな雛のうちは見えない。
仔カラスの姿が見えるようになった頃には、もうずいぶん成長していた。
2羽いるようだ。
※
そろそろ巣立ちかな。
飛び立つところを見たいもんだな。
と思った数日後のこと。
その電柱の根元に、一羽のカラスの死骸が有った。
小柄である。仔カラスだろう。
巣立ちに失敗したのか。
落ちたのか、落ちた所を何かに襲われたか、車に当たったか、
どこかに落ちたのを誰かがここに寄せたのか。分からない。
自宅からシャベルを持って来て、掬って運んだ。
庭に埋めてやろう。
※
自宅への曲がり角に、そこの家の子が友達と二人で立っている。
小学校低学年男子と、友達はちょっと年上の男子。
生き物の死骸を見て、「キモーい!」とかなんとか騒いだらイヤだな、と思って、
こころもち、シャベルを隠すような角度に持って、通ろうとした。
すると、
「あ。カラス。死んでた。僕もさっき見た。」
この子は、細い砂利道を挟んでウチの隣に引っ越して来た時は赤ちゃんだった。
長ずるにつれ、虫に興味を持つようになってきた。
ダンゴムシから始まって、バッタだのクワガタだのを捕まえてきては虫籠でしばらく飼っている。
どこかでアメンボを獲った時は、お母さんに連れられて、
我が家の池に放していいですか、と来た。もちOK。
その後、たまに庭に遊びに来たり、何か獲れたら見せてくれたり。
先日も、私が朝、家の前の掃除をしていたら、
「昨日ナメクジ沢山取れた。」と言うので、
丁重に見学を辞退した。
その子が、仔カラスをシャベルに掬って運ぶ私にくっついて来た。
「どうするの?」
ちなみにその子は、小学2年生にしてハスキーボイスである。
庭に埋めてやろうと思ってさ、と私は答えて、自宅の敷地に入る。
「入っていいですか?」
どうぞ。
「ありがとうございます。」
足元に気を付けてね。
一緒にいたちょっと年上のお友達は、
私の庭に入った経験が無いせいか、
そこで「さよなら」と帰ってしまった。
誘えば良かった。
※
庭の奥へ進む。
「前にもこういう事したの?」
うーん、そうだな、野良猫が死んでたりしたら、埋めたこと有るな。
歴代の飼い犬を埋葬しているが、それはとりあえずナイショにした。
適当な場所を見繕って、カラスを一旦地面に置き、シャベルで穴を掘る。
「僕も穴掘るの上手なんだよ。」
へー、すごいな。
後から考えたら、この時に交代しても良かった。
仔カラスに充分な穴が掘れたら、屍骸をシャベルで掬って、
穴の底に寝かせた。
「やらせて。」
じゃ、埋めるのやってもらおう。
穴の周囲に積もった土を、上手に掬っては穴を埋める。
最後にシャベルの背で、トントンと叩いて固める。
私は、すぐ横に在った石をその上に載せた。
後から考えたら、ここでちょいと合掌しても良かったな。
※
数日後、巣は空になっていた。
もう一羽の仔は無事に飛び立つことができたのだろうか。
更に数日後、電力会社によって、巣は撤去された。
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