風邪を引くと、枕元に本を集め、寝たいだけ寝る。
眠りたいだけ眠りたいが、眠り飽きてしまったり、症状に意識が行ってしまったりで
眠れない時間は長い。
そんなふうに気分のすぐれない時にも、引き込まれるくらい、
内容のおもしろいことはもちろん、軽妙な本が、風邪の時には必要だ。
図書館で借りようとしたら、何人かの予約がついていた。
今年刊行されて、芥川賞を囁かれている『火花』に至っては、
数百人の予約待ちだ。
『火花』は又吉直樹の初めての小説だ。
新人賞候補としては長い、230枚の中編だという。
今までに書いたものはエッセイ程度、と言われているので、
それをまず読んでみようと思って、『第2図書係補佐』を選んだ。
渋谷にある、ヨシモト∞ホールで発行していた小冊子に連載していたものに
書下ろし10編を加えている。
中身は、小説の紹介だ。
若手芸人の舞台を見に来るような、女子高生をターゲットにして又吉本人が
本を選んだということだ。
ただならない。
このような説明では、思いもかけないような内容なのだ。
「今までに書いたものはエッセイ程度」なんて紹介をしている人は、
『火花』は読んだけれど『第2~』は読んでいないのだろう。
一編は、文庫本でたった2頁程度だ。
しかしそこに途方もない世界が書き込まれている。
筆者本人の、小学校から20代前半くらいまでの経験談が中心なのだ。
これまたこう説明すると、つまらなく聞こえてしまうが、
そんな経験談を綴った、最後の3行くらいで本題の小説を紹介する。
それでいてその小説を読みたくさせる。
途方もなく個人的だから描かれる世界は広くはない、しかし
なんらかの経験を持つ人には共感とまではゆかずともなるほどと聞かせる物語であり、
では深いかと言えばそれは又吉個人という深さの限界もあり、
しかしそこに周囲の人も関わることで底知れないものとなる。
そういう世界を、2頁で感じさせる。
ものすごい筆力だ。
それは、巻末に付された対談の相手である作家の中村文則氏の言う、
本を多く読んだ者の持つ、「海」なのかもしれない。
そんな海水浴のおかげでよく休むことができて、風邪は一日で抜けて行きそうだ。
眠りたいだけ眠りたいが、眠り飽きてしまったり、症状に意識が行ってしまったりで
眠れない時間は長い。
そんなふうに気分のすぐれない時にも、引き込まれるくらい、
内容のおもしろいことはもちろん、軽妙な本が、風邪の時には必要だ。
図書館で借りようとしたら、何人かの予約がついていた。
今年刊行されて、芥川賞を囁かれている『火花』に至っては、
数百人の予約待ちだ。
『火花』は又吉直樹の初めての小説だ。
新人賞候補としては長い、230枚の中編だという。
今までに書いたものはエッセイ程度、と言われているので、
それをまず読んでみようと思って、『第2図書係補佐』を選んだ。
渋谷にある、ヨシモト∞ホールで発行していた小冊子に連載していたものに
書下ろし10編を加えている。
中身は、小説の紹介だ。
若手芸人の舞台を見に来るような、女子高生をターゲットにして又吉本人が
本を選んだということだ。
ただならない。
このような説明では、思いもかけないような内容なのだ。
「今までに書いたものはエッセイ程度」なんて紹介をしている人は、
『火花』は読んだけれど『第2~』は読んでいないのだろう。
一編は、文庫本でたった2頁程度だ。
しかしそこに途方もない世界が書き込まれている。
筆者本人の、小学校から20代前半くらいまでの経験談が中心なのだ。
これまたこう説明すると、つまらなく聞こえてしまうが、
そんな経験談を綴った、最後の3行くらいで本題の小説を紹介する。
それでいてその小説を読みたくさせる。
途方もなく個人的だから描かれる世界は広くはない、しかし
なんらかの経験を持つ人には共感とまではゆかずともなるほどと聞かせる物語であり、
では深いかと言えばそれは又吉個人という深さの限界もあり、
しかしそこに周囲の人も関わることで底知れないものとなる。
そういう世界を、2頁で感じさせる。
ものすごい筆力だ。
それは、巻末に付された対談の相手である作家の中村文則氏の言う、
本を多く読んだ者の持つ、「海」なのかもしれない。
そんな海水浴のおかげでよく休むことができて、風邪は一日で抜けて行きそうだ。
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