犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

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ウイリーカー

2023年02月17日 | のりもの

[あらすじ] 両親の蔵書を遂に古書店に売却している。
第一弾は自宅に来てもらっての買取。
第二弾は段ボール箱に詰めて宅配便で送るのと合わせ、
大型本やケース入りの全集ものなどを、車に積んで持ち込んだ。
https://blog.goo.ne.jp/su-san43/e/934c1484421c7935d5af73d7bd7b6cbc


運転席以外の全てのスペースに本を積んだ。
24束と段ボール2箱。
ひと束は15㎏前後だろう。
運転者を入れて7人くらい乗っているような計算か。
えーと。
定員ならオーバーですな。
積載量って決まっているのだろうか。



古書店は、倉庫と事務所が併設されていた。
倉庫にはちょうど、「再生紙運搬車」と書いたトラックが入っている所だった。
売り物にならない本が積み込まれているのだろうか、と思うと、
ちょっと胸が痛んだ。
なるべく、売れて欲しい。

値の付かなった本を返却して貰うかどうか、
宅配買取を行っている多くの古書店で、選ぶことができる。
私は今回、返却を希望しなかった。
最初に、写真を見て貰って、買取できるものだけを送る、
という手筈で進めてきたからだ。

とは言え、大雑把に査定した部分も有るだろうし、
実物を見てみたら、傷みが強いなどの理由で商品にならないものも有るだろう。


トラックを横目に、建物の脇寄りへ行くと、
案の定、事務所の入り口が有った。
ドアは開け放たれており、奥にはデスクなどが見えた。

人かげが見えなかったので、インターホンを押した。
するとすぐに、若い男子が現れた。
ハッとしたような表情で口を開いている。
ジーンズにパーカーで、若い。学生アルバイトだろうか。

「本の持ち込みで来ました、スヤマです。」と言うと、
また更にハッとして、口は開いたままだが返事もせず、
男子は引っ込んだ。

と、すぐ入れ替わりに、ネクタイを締めた、
やはり若いけれど社員の風情の男性が出てきた。

「今ちょうどトラックが入っているので、
こちらにお車を付けていただいたら、
我々で搬入いたします。」と、てきぱきと判断する。
運んでくれるのか。助かる。
私は、搬入しやすいように、車を切り返して敷地に接して停め直した。

すると、同じような雰囲気の男子が事務所から出てきて、
本の束を運び始めた。
それは2~3人ではなく、5~6人もいたか。
次から次へと男の子が湧いて出てきては、
本の束を慣れない様子で一つずつ運んでいく。

一人の男子が、いちいち
「丁寧に、丁寧に」と、自分へとも皆へともつかず声を掛けている。

私でも両手に一束ずつ持って運べる程度の重さだが、
彼らは丁寧に両手で一束を抱えて運ぶ。
行ったり来たり。

途中から台車も使い始めたが、
把手の無いタイプの台車であり、
これは箱を積むには良いけれど、
束を積んで押すのは難しく、
結局、一度に2束しか積めないので大して効率は良くない。

まあそれでも人数がいるので、
ものの10分ほどで全ての束は運び込まれて行った。
ああ、若い男子って気持ちいい。
「これでご飯でも食べなさい。」と千円札でも渡したいような
おばはん心が私にも芽生えるってもんだ。

しかし、挨拶もできないし、動きの効率も悪いな。
若いわね。いいのよ。



最初の依頼から今日まで、ずいぶん時間が掛かってしまってすみません。
と、ずっと担当してくれている社員さんに挨拶した。
「いえいえ。量も多いですし、荷造りから積み込みまで、
たいへんだったと思います。
車も敷地の脇に寄せられるわけでもないですしね。」

気持ち良い返事だが。
ウチが充分な道幅の道路に接していないことは伝えていないぞ。
もしかしてガレージの有る家かもしれないのに、なんで分かるんじゃ?
と、ちらりと疑問に思った。
まあ、いい。

おまけに、我が家の前の道は砂利道である。
15メートルくらいは、台車に本の束を積んで
その砂利道を運んだのだ。
重たい荷を載せた台車は、砂利道に車輪を取られて
押してもなかなか進まない。
これがまたたいへんだった。



本を積み込んだ車を月極駐車場に戻すべく、
運転席に乗り込んで、ちょいと驚いた。
ボンネットがやたらと見える。
車の後部が荷物の重さで沈み、その分、車の頭が持ち上がっているのだ。

持ち込みの2日前に、本を積み込んだ。
2日もこんなに重量の掛かった状態で車を置いておくことになる。
リアサスペンションに負荷が掛かるだろうなあ。

車を横から見てみると、
全輪のほうがタイヤの上にボディとの隙間が広くなっている。
上向きである。



古書店は、自宅から車で50分ほどの所であった。
重たい。
アクセルを踏んでもいつもの感覚では加速しないし、
ブレーキの利き心地もいつもと違う。

帰り道は帰り道で、
加速の良さに驚いた。
アクセルを踏んだらブアッとスピードが出る。
どうやら、行きの道の運転で、踏み込む癖が付いたようだ。

この程度の重さでこんなに運転の感覚が変わるものか。
運送というのはたいそうな仕事だとあらためて思った。
荷を降ろした後のトラックがスピードを出してしまいそうな気持ちが
ちょっと分かる。



とにかく、これで第二弾の作業が終わった。

と、帰宅したら、
次に宅配買取を申し込んだ分の段ボール箱が届いていた。

さて。
次の作業はまたちょっと種類が違う。

つづく

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